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学科 メディア学科
年度 2018
ゼミ名 竹内 幸絵
タイトル 現代アートのファッション化~SNSで消費されるアートの価値とは~
内容 現代アートブームにおいて、若者から高尚だと避けられてきた芸術の敷居は低くなった一方で、芸術そのものへの関心は薄れているように感じる。アートが考えられる対象ではなくなり、見た目の可愛さや特異性だけで切り取られ、ファッションとしてSNSで消費されている中、実際には人々はどのようにアートと関わっているのか。調査の結果、約6割が現代アートに接触しており、一般的な鑑賞方法は「複数人でアートを五感で楽しむ」ことだった。また、接触理由は知人からの誘いが最も多く、やはり芸術そのものに興味を持つ人は少ないことがわかる。また、作品のコンセプトに意識を向けている人も少数だった。作品に込められたメッセージを知り、作品の意図を考えれば、アートがもっと面白く興味深くなるとともに、新しい価値観に出合えるかもしれない。感覚的な面白さや見た目の可愛さだけでアートを語らず、作者の思いまで知って作品を楽しむことの重要性を訴える。
講評 筆者はよく一人で現代アートを鑑賞するという。現代アートは昨今、ブームともいわれるが、このような情勢になる以前から足を運んでいた彼女は、なぜ日本で今これほど突然ブームとなったのか、という疑問を持っており、これを論文のテーマに選んだ。調査、執筆して行くうちその疑問は「懐疑」となっていった。そして今日のSNSでの「映え」を強く意識した現代アートブームに疑問を投げかける卒論を仕上げてくれた。
彼女がまず取り組んだのは、現代アートの起源を考えること。唯一無二性が芸術とされてきた長い時代を経て、近代以降は作品意図(イズム)が重視されてきた歴史を、マルセル・デュシャン、レアンドロ・エルリッヒらを例示し考察した。現代アートファンを自認する彼女自身も知っているようで知らなかった、イズムがあるものが現代アートである、という、現代アートの存在意義を再考する序文となった。
そして後半で、今日のブームを考察して行く。インタビュー分析では複数人で行く、誘われたから行く、といった回答者ほどSNSでの共有が多いこと、そうした層ほど現代アートを理解するという姿勢からは遠く、作品意図(イズム)を考える姿勢がないと断じている。彼女はアートの可愛さや色鮮やかさ、特異性をただ楽しむこと、それを真っ向から否定するわけではない。しかし感覚だけで楽しみSNSで消費するだけではなく、作品に込められた思いやメッセージを思考することが、社会や物事に対する考え方を変える、あるいは知らなかった自分を知る、といった新たな可能性を引き出すと提言する。これが本来の現代アートの価値なのだと。作品の撮影を許可する美術館にも、鑑賞より撮影に意識が向いてしまうことは自明なのになぜ許可するのかと警鐘を鳴らす、骨太の論文となった。
キーワード1 現代アート
キーワード2 SNS
キーワード3 共感型アート
キーワード4 フォトジェニック
キーワード5  
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