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学科 | メディア学科 |
年度 | 2018 |
ゼミ名 | 竹内 幸絵 |
タイトル | 少女漫画実写映画はなぜ増えたのか ー若者の映画に対する価値観から考えるー |
内容 | 近年、漫画やアニメの実写映画が増えている。それは若者が映画を芸術というよりはコンテンツとして認識するようになったからではないだろうか。本論文では少女漫画原作の実写映画に焦点を置き、少女漫画実写映画の変遷と若者の映画に対するアンケートを用いてなぜ少女漫画原作の実写映画が増えたのかを考察した。少女漫画実写映画は15年の間でかなり大きく変化しており、特に2016年から2018年の間の公開本数は40作品にも登った。このように少女漫画実写映画が人気の理由は観客層が10代女子に変化したことがいえる。またアンケートにより若者が映画を選ぶ理由に「内容」だけではない「出演者」「口コミや話題性」など他の要素が重要視されていることがわかった。つまり実写映画は「内容」以外で選ばれやすい映画ジャンルであるといえることがわかった。また少女漫画実写映画はSNSを効果的に利用しており観客が映画に参加する新たな形を生み出した。 |
講評 | 少女漫画の実写版が近年突然増えた。もちろんそれは興行的になりたつからここその現象なのだが、そこでは何かが起きているのではないか、この現象は映画の変化を示しているのではないか。このもやもやした疑問が本論文執筆の背景にある。少女漫画原作の実写映画の観客層は高校生、ハイティーンを中心とした若者である。若者の映画への価値観はどのようなものなのか、そしてそのような価値観が形成された要因は何なのかを解明したい、と筆者は考えた。 論文ではまず1970年代の大型スクリーン映画からシネコン時代へと移り変わる邦画の史的変遷を押さえた。そして2000年代初めの少女漫画原作の実写映画が本数は少ないものの確実な興行成績を残していることも指摘した。さらに筆者が増えていると感じている近年の少女漫画の実写版の数を調査した。2016年から2018年までに40作品、2000年代の作品のほとんどがこの3年に制作されていることがわかった。 この実証的な調査だけでも価値があるが、本論はさらに映画は「芸術」か「コンテンツ」か、という問いかけへと進む。筆者はSNSでの拡散を見込んだ少女漫画の実写版映画は、見る側も参加し拡散していく「コンテンツ」としての映画の代表選手であり「芸術」ではないという結論を導く。今の大学生にとってこの結論は普通のことかもしれない。しかし従来の映画研究者がこれを受け止められるか?と、私は知人の映画研究者の顔を思い浮かべてしまった。 いつもゼミで鋭い発言をし、皆の意識を覚醒してくれた筆者の、時代を見る目が光る論文に仕上がった。 |
キーワード1 | 実写映画 |
キーワード2 | 少女漫画 |
キーワード3 | SNS |
キーワード4 | 芸術映画 |
キーワード5 | 娯楽映画 |
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