詳細
学科 社会福祉学科
年度 2018
ゼミ名 上野谷 加代子
タイトル 「共食の場」の有効性―高齢者の健康的な生活と 地域のつながりづくりの観点から
内容 現在の日本は、平均寿命の上昇と高齢化の進行に伴って要支援・要介護者数が増加し、社会保障費が増加、国家財政を締めあげている。要支援・要介護状態になる要因には食の関与が指摘されており、低栄養状態にある高齢者は2割近くいる。一方で子どもの貧困の問題も社会的に注目され、子ども食堂が爆発的な広がりを見せている。この二つの状況から、筆者は子ども食堂の対象を子供だけではなく地域に住む高齢者やその他の住民にまで広げ「共食の場」とすることで、地域の複合的な問題の解決につながるのではないかと考え、文献をもとに「共食の場」の有効性について考察した。文献研究では、「共食の場」は人類の歴史の初期からみられるものであり、殊に古代以降は人々の親密化や共同体の維持を目的に行われてきたこと、共食という行為は食事の満足度の上昇、高齢者の高次生活機能の自立度や主観的幸福感、QOLの向上、地域住民のつながりの構築・強化、地域文化の継承が期待できるということが明らかになり、その有効性を確かめることが出来た。「共食の場」の開設・運営にあたっては、開催頻度や開催場所、献立の作成、食料の調達、値段設定、告知方法などの課題が存在すると思われるが、これらの多くは様々な機関や地域住民、地域の資源と連携・協働することで解決するのではないかと考察した。
講評 上野谷ゼミナールの卒業論文提出者は、13名である。
「社会福祉研究法」(有斐閣)をむつかしいと嘆きながら学んだだけあって、もちろん個人によって異なるというものの、全員の問題意識は明確で文献もかなり読んだ学生もおり、論文の質は高いと評価しておこう。
 全員が、文献研究だけでなく、実習や就職活動を通して学んだ諸活動の経験も生かしている。また、調査や実験を実施したものもいる。中間発表会や最終の3回生への発表会を通して、まとめ上げていった経験を忘れないでほしい。以下、個々人の論文を紹介し講評する。
本論文は、平均寿命の上昇と高齢化の進行に伴って要支援・要介護者数が増加し、社会保障費が増加、国家財政を締めあげているという現実と、子どもの貧困の問題も社会的に注目され、子ども食堂が爆発的な広がりを見せているなかで、子ども食堂の対象を子供だけではなく地域に住む高齢者やその他の住民にまで広げ「共食の場」とすることで、地域の複合的な問題の解決につながるのではないかとの問題意識から文献をもとに「共食の場」の有効性について考察したものである。文献研究では、「共食の場」は人類の歴史の初期からみられるものであり、殊に古代以降は人々の親密化や共同体の維持を目的に行われてきたこと、共食という行為は食事の満足度の上昇、高齢者の高次生活機能の自立度や主観的幸福感、QOLの向上、地域住民のつながりの構築・強化、地域文化の継承が期待できるということが明らかになり、その有効性を確かめることが出来た。「共食の場」の開設・運営にあたっては、開催頻度や開催場所、献立の作成、食料の調達、値段設定、告知方法などの課題が存在すると思われるが、これらの多くは様々な機関や地域住民、地域の資源と連携・協働することで解決するのではないかと考察している。今日的課題について豊かな発想力で取り組んだ優れた論文である。
キーワード1 高齢化
キーワード2 健康寿命
キーワード3 地域
キーワード4 子ども食堂
キーワード5 共食
戻 る
Copyright (C) Doshisha University All Rights Reserved.