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学科 メディア学科
年度 2018
ゼミ名 勝野 宏史
タイトル 「男の娘」から見るジェンダー ―曖昧になる境界線―
内容 本論文は「男の娘」と呼ばれるキャラクターコンテンツに注目し、その成り立ちと性質を整理した後に現代ジェンダー論と照らし合わせ、その相違点や類似点より「男の娘」というコンテンツが現代のジェンダーにおいて何を表すのかを明らかにすることを目的としている。「男の娘」というコンテンツを分析するに際して「大きな物語」の消失と「物語消費」、「データベース消費」に注目して分析を行った。これにより「男の娘」とは「大きな物語」が消失したことにより現れた新たな価値観の一つであり、そのコンテンツの消費はキャラクターを記号の集合体として魅力を見出す「データベース消費」であることが明らかになった。しかしながら現代では「男の娘」コンテンツにも多様化が見られ、性を意識させる物と性の境界を曖昧にさせる物と二種類が見られた。これは「男の娘」コンテンツは現代ジェンダー論における考えに対して相反する面がありながらも併存する面もあるということが示された。つまり「男の娘」コンテンツとは性の境界が曖昧になっていく現代においてそれを推し進めつつも同時に男女の境界を示す存在であると結論付けられた。
講評 本年度はインターネット、テレビ、広告、映画、社会運動、アニメ、監視社会、観光、ファッションなど、実に様々なテーマが提出された。本ゼミにおいて卒業論文執筆の際の目標として繰り返し強調してきたのは、トピック重視の狭い範囲で明快な議論を展開することではなく、具体的な現象とその解釈の往還の中で自分なりの問いを見出し、その問いを追求する中でさらなる大きな問いにたどり着くということであった。個々それぞれが別々のテーマに着目しながらも、最終の口頭試問において明らかとなったのは、すべての論文が「共感」もしくは「存在の不安」という問題意識を有しているということであった。最後にゼミ全体としてその様な大きな問いを共有することができたのはゼミ参加メンバーが主体的な議論を重ねてきた結果であろう。
キーワード1 「大きな物語」の消失
キーワード2 物語消費
キーワード3 データベース消費
キーワード4 パ美肉おじさん
キーワード5 エンパワメント
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