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学科 | メディア学科 |
年度 | 2018 |
ゼミ名 | 勝野 宏史 |
タイトル | 「妖怪」ブームの社会学―妖怪はいかに受け入れられてきたのか― |
内容 | 現代日本における妖怪作品は、可愛らしいイラストでありながら恐怖を感じる。そのメカニズムは、作品の裏に潜む「見えないモノ」の力と関係している。それでは、現代日本における妖怪は、どのような「見えないモノ」を背景にして栄え、私たちはそれをどのように見て捉えているのだろうか。 その真相を究明するために、日本における今昔の妖怪ブームを分析した。その手法は、歴史的資料を用いた人文科学と、昨今の妖怪アニメを用いた文化研究に倣った。そして、時代ごとに登場する妖怪の意味・機能・価値を導いた。 結果として、現代日本の妖怪は、近代化以前の安心的・教訓的要素を所有していることが分かった。近代化を機に、非科学的・超神秘的な妖怪は、本来の役割を喪失した。しかし、現代日本において、失われた信仰を取り戻す動きが見られるのである。その原因は、現代日本の閉塞的な社会状況と関係している。近代化の歪である社会の閉塞感は、直接的に見て捉えにくい。現代人は、閉塞的な社会状況に裏付けられた妖怪作品の世界観を見て捉え、妖怪を生み出した自分たちに対する理解を追究しているのである。 |
講評 | 本年度はインターネット、テレビ、広告、映画、社会運動、アニメ、監視社会、観光、ファッションなど、実に様々なテーマが提出された。本ゼミにおいて卒業論文執筆の際の目標として繰り返し強調してきたのは、トピック重視の狭い範囲で明快な議論を展開することではなく、具体的な現象とその解釈の往還の中で自分なりの問いを見出し、その問いを追求する中でさらなる大きな問いにたどり着くということであった。個々それぞれが別々のテーマに着目しながらも、最終の口頭試問において明らかとなったのは、すべての論文が「共感」もしくは「存在の不安」という問題意識を有しているということであった。最後にゼミ全体としてその様な大きな問いを共有することができたのはゼミ参加メンバーが主体的な議論を重ねてきた結果であろう。 |
キーワード1 | 妖怪 |
キーワード2 | ポップカルチャー |
キーワード3 | 見えないモノ |
キーワード4 | 近代化 |
キーワード5 | 閉塞的社会 |
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