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学科 社会学科
年度 2019
ゼミ名 轡田 竜蔵
タイトル 地方出身大学生の地元志向
内容  本稿は、地方出身大学生の地元志向について議論した。地方のある高校の同級生に焦点を当て、その中でも地元での就職を選択した者にインタビューを行った。「ずっと地元型」と「U ターン型」の二つのパターンに分類し、それぞれのライフヒストリーを元に、なぜ地元での就職を選択したのかについて分析を行った。結果、「人とのつながり」「地理的環境」「キャリアアップ」の三つの要因が明らかになった。また、本調査の対象である高校は、地方のいわゆる進学校と呼ばれる高校であった。高校を卒業後は県外の大学に進学し、社会に出ても活躍が期待される人材を生み出す高校を卒業した者たちが、あえて地元での就職を選択している。このように地元志向がマジョリティになっているという点が、本稿において非常に興味深い点であるといえる。
講評  本論文の調査対象となったのは愛媛県のある進学校の文科系の部活動の同期。そのなかから7名に対して、大学4年生の進路がほぼ確定した時点で、その将来展望に関し、半構造化インタビューが試みられている。ボリュームのあるインタビューデータに基づき、ケース分析とテーマ分析の両方から分析・考察を手堅く行っており、対象者の地元志向の文脈を丁寧に実証している点は評価できる。本論文は、インタビューデータの一次分析を中心とするものであるが、理論的にはさらなる考察の発展性がある。「坂の上の雲」の時代以来の地方の進学校出身者の「上京」意識の変化をどう描くのか、そして、同時代でも地元以外で就職する学生もかなりの程度いる現実をどう捉えるのか、といった文脈に開いていけば、著者の調査データの意味を明確に位置づけることができるだろう。
キーワード1 地元志向
キーワード2 U ターン
キーワード3 ローカル・トラック
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