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学科 | 社会学科 |
年度 | 2019 |
ゼミ名 | 藤本 昌代 |
タイトル | 農村部の老舗に嫁ぐ女性―嫁の役割と適応プロセス― |
内容 | 本稿は、農村部でも特に庄屋と呼ばれる地域のリーダー的役割を担う家に嫁いだ女性が地域に馴染んでいく過程と、期待される役割を明らかにするものである。インタビュー調査の結果、嫁入り女性が素早く地域に馴染むためには、個人の要因と地域側の要因の両方が必要であった。前者は、女性のパーソナリティの部分だけでなく庄屋の一員になったという自覚の芽生えも含み、後者は、特に「若嫁の会」や「ママ友」といった女性ならではのネットワークを指す。さらに、庄屋に嫁いだ女性が地域に入り込むだけでなくその地域のコミュニティの価値観を変容するには、それまで関係が希薄であった庄屋と地域をつなぎ、社会や地域のニーズと嫁入り女性の行動が一致することが重要であった。よって、庄屋に嫁ぐ女性は、嫁ぎ先と地域の橋渡し役となり、地域のニーズに応えること、そして新参者としての視点を持ち地域に還元することを期待されていることが明らかになった。 |
講評 | 本研究は、農村地域の「ムラ社会」である夫の実家に都市部で核家族経験後に入った女性の「よそ者」から「地域の人」になる適応プロセス、「老舗の嫁」という立場による地域の「庄屋」的「家」のメンバーとしての行動規準の取得、家業とは異なる活動として、女性支援のリーダーシップの発揮など、1人の女性のライフヒストリーから複数の過程を分析している。調査では本人家族、地域住民、ママ友、プロジェクト関係者からの丁寧な聞き取りから具体的な情報を得ている。その中で当該社会の規範、制度的行動規準を「逸脱」して、女性リーダーが行動できた社会的環境、新たな制度を作り出す「よそ者」の力および地域への適応過程、地域の規範の中で押し込められがちな女性が、地域のけん引役として主要な役割を果たせるようになった要因など、興味深い分析を行っている。本研究は藤井和佐の地域社会の女性リーダーモデルに新たな概念を追加しており、優れた論文と言える。 |
キーワード1 | 婚入女性 |
キーワード2 | 庄屋 |
キーワード3 | 地域への適応 |
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