詳細
学科 社会学科
年度 2019
ゼミ名 平尾 桂
タイトル メリトクラシー容認度と差別容認度の研究
内容 現代社会において、家柄や身分といった、生まれ持った要因ではなく、能力によって人間を評価する能力主義が是とされる傾向にある。一方、能力主義は格差を生み出すという側面を持っていることもまた事実である。このような、格差を助長する能力主義を容認することが、意図せず差別を容認することに繋がっているのではないかという仮説を立てた。その上で、「回答者の社会的地位に対する考え方と、自身の社会的地位」が「メリトクラシー容認度」と「意図的・非意図的差別容認度」に対してどのように影響を与えているか、また「メリトクラシー容認度」が「意図的・非意図的差別容認度」に対してどのような影響を与えているかについて調査を行った。調査はGoogle form上で行い、同志社大学生を中心とする大学生を対象とした。分析の結果、社会的地位としての学歴を容認している人ほど、メリトクラシー容認度、意図的・非意図的差別への容認度が高くなる傾向にあることが明らかになった。
講評 「メリトクラシー容認度と差別容認度の研究」では、いわゆるメリトクラシー(実力・業績主義)の容認度が高いほど、意図的、非意図的な差別に対する容認度が高くなるという仮説が検証されました。この研究は、差別や格差は解消されるべきものとする観念が一般化している一方で、メリトクラシーを容認することが意図しないかたちで格差や差別を抒情する可能性があるという、私たちの社会の二律背反を明らかにしようとするものです。この仮説は、メリトクラシー容認度を尋ねる一部の項目が、意図的差別と非意図的差別の容認度に正の効果を持っているというかたちで、一部支持されました。特に、学業成績や学歴を実力・業績の指標として容認している度合いが高いほど、意図的差別と非意図的差別の容認度が高く、また、メリトクラシー容認度の一部も高くなるという結果が出たことが印象的です。また、自身の社会的成功を信じている程度が高いほど、メリトクラシーを容認しているという結果も見いだされました。さらに、興味深かったのは、学歴や学業成績を実力・業績の指標として容認している程度が高いほど年功序列よりも成果主義を好まない、という結果が出たことです。標本が大学生だったことを考えると、多くの回答者にとって、実力・業績とは自身の学歴のことだったのかもしれませんし、自己評価を学歴に依存しているともいえるかもしれません。
キーワード1 メリトクラシー容認度
キーワード2 差別容認度
キーワード3 社会的地位
キーワード4  
キーワード5  
戻 る
Copyright (C) Doshisha University All Rights Reserved.