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学科 社会学科
年度 2019
ゼミ名 平尾 桂
タイトル 日本の公教育機関が考える小学生間の望ましい友情関係
内容 本稿の目的は、日本における教育機関が児童の友情関係をどのように築いていって欲しいかを探ることである。研究手法としては、まず、小学校の道徳の教科書を分析対象として、その中から友情関係を描いている読み物作品を抽出した。そして、磯辺(2017)の同質性か異質性を軸とするのかという側面と、個人間か集団間の友人関係を軸とするのかという側面をそれぞれ掛け合わした計4類型に友情形態を振り分けていく。磯辺(2017)は、絵本を研究対象とし、そこでは個人間において同質性を軸とする内部収束・融合型が最も多かったが、本稿の研究では、集団間における同質性に重きを置いた外部拡大・融合型が最も多いという結果になった。この結果から考えられる事として、小学校という場が児童が社会で生活し、生きていく過程で求められる決まり事や規範といった集団生活のルールを学ぶ空間としての機能を果たすべく、公教育機関は個人が多数の人間の考えに合わせるような教科書づくりをしているのではないかと推察される。
講評 「日本の公教育機関が考える小学生間の望ましい友情関係」は、今回提出された論文のなかで、唯一、質的なアプローチが採られたものです。著者は小学校道徳の教科書と副読本のなかで「友情関係」が扱われている資料を、「同質重視-異質重視」と関係の「内部収束-外部拡大」という2本の軸を使って分類しています。印象的な知見としては、著者はテキストの経年比較を行い、総体的には、テキストに描かれた友情関係はこの2次元4類型にバランス良く分散しているものの、2002年には「同質重視-内部収束(あなたと同じ)」型が多く、2014年には「異質重視-外部拡大(みんな違う)」型がやや多くなっていることを見いだしています。これが、グローバリゼーションの進行という社会状況と軌を一にするものならば、教科書はその状況への対応を先取りしているといえるかもしれません。また、子どもの頃から、自分の周囲だけが世界なのではないというメッセージを投げかけているならば、それは企業をはじめとするともすれば閉ざされた世界に変化をもたらす人材の育成に寄与するものかもしれないなどとも考えられるのです。
キーワード1 友情
キーワード2 同質性
キーワード3 規範
キーワード4  
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