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学科 社会学科
年度 2019
ゼミ名 平尾 桂
タイトル 希死念慮とそれに至るプロセスの性差
内容 厚生労働省の統計によると例年、男性の自殺者数は女性の自殺者数の2倍近くあることが明らかになっている。それに対して何故性別によって自殺者数に差が生じるのだろうか、また自殺者に共通する要因とそれぞれ性別ごとに自殺に近づける要因があるのではないかと考えた。そこで自殺に関連のある希死念慮と自殺に関連のある要素として自尊心、被援助志向性、ソーシャル・ボンドの3点を用い、性別ごとにおけるその概念得点の傾向によって希死念慮に至るプロセスとしての性差が見られるのではないかと思いアンケート調査を行った。その結果、希死念慮に最も有意効果を持つ自尊心は男女差が見られなかったが、希死念慮を抑制する効果を持つと考えられている被援助志向性の下位概念「被援助積極性」項目は男性より女性の方が有意に近く、同じく抑制する効果が持つと考えられているソーシャル・ボンド理論における「信念」項目は女性より男性の方が有意に近くなる結果となった。このことから男性の自殺者数が多くなる原因として男性は女性と違い、自分のメンタルヘルスを開示しないために自殺に追い込まれていくのではないかと考察した。
講評 「希死念慮とそれに至るプロセスの性差」は、広い意味での希死念慮に影響を及ぼしていると考えられる要因として、自尊心、被援助指向性、それにソーシャルボンドを採りあげ、その性差を調べた研究です。この研究では、希死念慮にはこれら3つの要因のうち、自尊心、援助を受けることへの積極性、それにソーシャルボンドの「信念」が希死念慮を弱める効果を持っていることが示されました。これらのうち、被援助積極性は男性よりも女性が高く、「信念」は女性よりも男性が高いという結果が見いだされました。これは希死念慮の抑止力に男女差が存在する可能性を示唆するものとして、重要な知見と考えられます。
キーワード1 希死念慮
キーワード2 性差
キーワード3 自尊心
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