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学科 社会福祉学科
年度 2019
ゼミ名 山田 裕子
タイトル 視覚障害者への支援の在り方 ―就労支援と移動支援から考える―
内容  現在、日本には約31.5万人の視覚障害者がいるとされている。また高齢化が進むにしたがって、誰でも視覚障害になる可能性が出てくることもあり、視覚障害者の人数も増えていくと予想される。さらに最近では、視覚障害者の方が駅のホームから転落したり、交通事故に遭ったというニュースなどもよく目にする。視覚障害者に対する支援は、古くから現在までもちろん行われてきているが、これから先ますます必要性が高まってくるのではないだろうか。
 本論文では、これまでどのような制度があり、支援が実施されてきたのかを振り返り、視覚障害者が安心して、いきいきとした生活を送るには、これから先どういった支援が必要であるのかを、就労支援、移動支援の2つの方向から考えた。具体的な支援案を提案することは出来なかったが、国や組織の支援だけでなく、周囲の人たちの視覚障害への理解や、小さな手助けが必要不可欠なものになってくるという結論に至った。
講評  この論文では、最初は、視覚障害者の支援について、就労支援、情報支援、そして移動支援の3つを取り上げ、現在の支援状況に迫ろうと計画したものの、情報支援は、内容の伝達が難しいという困難にぶち当たりました。情報支援は近年の、特にIT技術の革新によって、これまでは不可能であった視覚障害者による視覚情報の獲得を可能にする目覚ましい技術を獲得するための技術なのです。最終段階で涙を呑んで、焦点を就労支援と移動支援に絞り、大きな改変を行いました。
 視覚障害者の定義から始め、見え方、見えにくさの多様性とその捉え難さを論じています。近視や遠視における屈折異常は「ぼやけ」を、白内障や角膜混濁など、水晶体や角膜による「まぶしさ」を、視野の中心部の網膜部位の機能低下では「見えない」状態を、視野狭窄により「視野の周辺部が見えない」状況を起こすというように多様です。そのような多様な見えにくさは、多様な原因疾患症状に由来し、しかも多くは進行性であり、いずれ全盲となる場合も多く、生涯にわたる支援が必要とされます。就労は、生計を立てるために必須であるにもかかわらず、視覚障害者の就職は厳しく、就労支援は、方法と場所において限定的という問題もあります。同行援護は視覚障害者の社会参加と移動に必要だとして法整備はなされたものの、大きな問題として挙げられるのが、通勤には利用できない制度であることです。しかし、世田谷区では、盲導犬を連れた視覚障害者が地下鉄駅ホームから転落し電車にはねられ亡くなったことを契機にNPOの区議会への働きかけによりヘルパーを通勤に利用できるようになったという一つの進歩を挙げ、視覚障害者のニーズを世の中に知らせる必要性を例証しました。視覚障害を後天的に持っても、訓練を受け、専門職を堅持されているお父さんの苦労と日常的な努力を目の当たりにして、ライトハウスを実習先に選び、視覚障害への理解を新たにしながら書き上げた卒論です。
キーワード1 視覚障害
キーワード2 就労支援
キーワード3 移動支援
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