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学科 社会福祉学科
年度 2019
ゼミ名 木原 活信
タイトル 精神障害者収容の歴史―精神病者監護法と精神衛生法に焦点を当てて―
内容  1900年に制定された精神病者監護法によって精神障害者に対する処遇が全国統一的に定められた。それ以前の江戸時代後期には、公的な制度はなく私的制度が精神障害の人々を律していた。その後、呉秀三の批判的な声明もあって1919年に精神病院法がつくられる。これは主に私宅監置を止めようという内容のものであったがこの時点では私宅監置がなくなることはなかった。1950年に精神衛生法が制定されることにより、私宅監置が完全になくなった。精神衛生法では、私宅監置の代わりに措置入院制度が取り入れられた。この入院形態は、現在社会的入院と呼ばれるものになっている。社会的入院は、本人のためのものではなく、不必要な長期間の入院を減らしていくことが出来たら良いと考えている。また、これまでの歴史の中で精神障害者はずっと閉じ込められるという道をたどってきているが、それが何故行われてきたかを考察した。
講評 本論では、精神障害者収容の歴史を主に、精神病者監護法と精神衛生法に焦点を当てて議論したものである。本論によれば、日本では、1900年の精神病者監護法によって精神障害者に対する処遇が全国統一的に定められるようになり、その後、1919年精神病院法、そして1950年精神衛生法制定により、「私宅監置」が事実上なくなったという。その精神衛生法で、私宅監置の代わりに措置入院制度が取り入れられたため、「閉じ込め」がなくなったのではなかった。むしろ国家による法制度により病院による「社会的入院」が生じ、依然として歴史の中で精神障害者はずっと「閉じ込め」は維持されていることを明らかにした。

当初は、人権意識への漠然とした関心で、執筆段階でテーマの絞り込みに悩んで出遅れたが、精神障害者の歴史というテーマに出合ってからは、深く突っ込んで議論できるようになった。その集中力、一貫性は高く評価できる。今後、この成果を活かして、しっかり励んでもらいたい。
キーワード1 精神病者監護法
キーワード2 精神衛生法
キーワード3 精神障害者収容の歴史
キーワード4 閉じ込め
キーワード5  
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