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学科 産業関係学科
年度 2019
ゼミ名 岩月 真也
タイトル 女性の人材育成を阻む人事制度―なぜ女性はキャリア形成できないのか―
内容 男女雇用機会均等法をはじめとする法整備や企業の福利厚生の充実により女性の就業継続は促進されてきたが、依然として女性の就業状況を特徴付けるM字カーブは残っている。彼女たちが離職する主な理由は仕事への不満であるという現状に対し、本論文では女性への仕事の割り当てや能力開発・昇進機会の提供といった企業の人事制度に問題があると考え、制度が女性に与える影響を明らかにした。人事制度の中でも昇進、配置転換、コース別雇用管理制度に焦点を当て研究を行ったが、どの制度も女性特有の出産・育児期の長期のブランクを考慮していないことが分かった。また、家庭責任を負う女性に対しても企業は勤務場所・時間に制約のない働き方を求めるため、これに応じることのできない女性は人材育成やキャリア形成を阻害される仕組みとなっていた。このことは女性の能力を潜在化するだけでなく、はじめから育成や昇進に期待できない環境を作り出しているため、仕事へのモチベーション低下につながると考えられる。女性の能力を最大限に引き出すためにも、従来の人事制度がより柔軟な仕組みに変わり、個人のニーズに合った多様な働き方の選択を実現させる必要がある。
講評 女性の離職をめぐって、「仕事の不満」という心の問題からのアプローチではなく、昇進、配置、コース別雇用管理という人事制度の側面からのアプローチで議論が組み立てられている秀作である。適切に文献を活用しながら、日本の人事制度は、一定程度は女性の合意、もしくは妥協を引き出す仕組みを有してはいるけれど、近年徐々に増加している、知的で活力ある女性の能力を引き出すには限界があるという鋭い指摘を行っている。我々が今後解くべき課題が提示されている。
キーワード1 人事制度
キーワード2 人材育成
キーワード3 キャリア形成
キーワード4 昇進・配置
キーワード5 コース別雇用管理制度
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