詳細 | |
---|---|
学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2019 |
ゼミ名 | 寺井 基博 |
タイトル | 転職からキャリア形成が出来るのか |
内容 | 本論文は自分が「働く」ということに対して抱いていた疑問や不安を解消するために執筆している。就活でよく耳にする、キャリア形成とは何か。終身雇用とは何か。これらは、実は日本の大企業の正規雇用として働く限りではあまり意識しなくなってしまうものである。なぜならば、日本は内部労働市場であり労働力の流動性はない。つまり、社員教育は企業により中長期的に行われ最終的には企業の管理職になるべく育てられる。また、たとえ人員が余ったとしても例えばグループ会社や関連会社などに「天下り」していき、定年まで仕事ができる仕組みになっている。つまり、外部労働市場である欧米諸国のようにキャリアや転職について個人で考える機会も必要があまりないのだ。そこでどのような人材が日本の企業では生き残れるのか、日本で、組織に所属しキャリア形成や転職を考えることは、本当に無意味なことなのか。一方でキャリアについて自分でデザインして転職を繰り返していける欧米諸国は羨ましいことなのか。これらを大学で学んできた自分の経験や信念を基に考察していく。 |
講評 | 卒業論文の作成は、先行文献を読み込み、時にはインタビュー等の調査を行い、それらの知見をもとに自らの考えを文章にまとめるという地味で忍耐を要する作業なので、まずは各人が関心をもって取り組むことができるようにするため、テーマは自由とした。 提出された卒業論文のテーマは、長時間労働、非正規雇用、女性労働、高齢者雇用など働き方改革に関するもの、リーダーシップやマネジメントなど組織運営に関するもの、採用や転職などキャリアに関するもの、貧困などの社会問題に関するものに分かれている。いずれも、自身の経験あるいは家族・友人の経験に根差した具体的な事柄に関心が寄せられていたので、明確にテーマ設定されたものが多かった。 テーマが明確で論点が絞られている論文ほど、論旨も明瞭であった。例えば、長時間労働を扱った論文では、長時間労働の原因を法制度から読み解き、ホワイトカラー・エグゼンプションという解決策を提示する見解について、産業関係学の観点からの再検証が試みられた。法律が守られるためには、法律によって設定された基準を遵守するための職場ルールの形成が不可欠であることが指摘される。また、スポーツにおけるリーダーシップ論に関する論文では、個人競技でのリーダーシップ発揮の難しさが論じられている。 また、論文作成に費やした時間に比例して、論点把握や考察が深まる傾向にある。文献レビューやインタビュー内容の考察などの地味な作業が、論文の出来栄えに大きく影響しているものと考えられる。 先行文献のレビュー、問題把握、文章構成などに精粗はあるものの、ゼミ生全員が卒業論文執筆に真面目に取り組んできたことは大いに評価に値する。この卒業論文は紛れもなく「大学生活の到達点」であり、各人はここから社会人としての一歩を踏み出しさらに研鑽を積んでもらいたい。 |
キーワード1 | キャリア形成 |
キーワード2 | 転職 |
キーワード3 | 正規雇用労働者 |
キーワード4 | 内部労働市場 |
キーワード5 | |
戻 る |