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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2019 |
ゼミ名 | 寺井 基博 |
タイトル | 法改正に伴う高年齢者雇用安定法の雇用確保措置に関する問題について |
内容 | 本論文では、人口減少による労働力不足を補うための一策として、高齢者の雇用の確保が極めて重要であると考え、高齢者の雇用に関わりが深い高年齢者雇用安定法について、成立背景から流れをまとめ、主に雇用確保措置に関する様々な争点について見解を述べている。2004年の改正時においては、継続雇用の対象となる高年齢者にかかる基準について、希望者を原則全員雇用とする高年法の趣旨に矛盾するとした見解や、どのような基準設定が適法であるかの議論をまとめている。2012年の改正時においては、継続雇用制度の雇用確保先の拡大について、雇用確保先をグループ会社まで拡大する明文をおいたことで、いかなる争点が生まれたかをまとめている。最後に、共通の争点である私法的な効力の有無について否定説と肯定説に分けて述べている。現状の判決では否定説を論拠とするものが多いが、様々な角度から検討した結果、肯定説が有力であるとの考えに至り、今後増え続ける高年齢者層の事情からも、現在の社会の流れに合った法解釈からの判決が必要であるとうかがえる。 |
講評 | 卒業論文の作成は、先行文献を読み込み、時にはインタビュー等の調査を行い、それらの知見をもとに自らの考えを文章にまとめるという地味で忍耐を要する作業なので、まずは各人が関心をもって取り組むことができるようにするため、テーマは自由とした。 提出された卒業論文のテーマは、長時間労働、非正規雇用、女性労働、高齢者雇用など働き方改革に関するもの、リーダーシップやマネジメントなど組織運営に関するもの、採用や転職などキャリアに関するもの、貧困などの社会問題に関するものに分かれている。いずれも、自身の経験あるいは家族・友人の経験に根差した具体的な事柄に関心が寄せられていたので、明確にテーマ設定されたものが多かった。 テーマが明確で論点が絞られている論文ほど、論旨も明瞭であった。例えば、長時間労働を扱った論文では、長時間労働の原因を法制度から読み解き、ホワイトカラー・エグゼンプションという解決策を提示する見解について、産業関係学の観点からの再検証が試みられた。法律が守られるためには、法律によって設定された基準を遵守するための職場ルールの形成が不可欠であることが指摘される。また、スポーツにおけるリーダーシップ論に関する論文では、個人競技でのリーダーシップ発揮の難しさが論じられている。 また、論文作成に費やした時間に比例して、論点把握や考察が深まる傾向にある。文献レビューやインタビュー内容の考察などの地味な作業が、論文の出来栄えに大きく影響しているものと考えられる。 先行文献のレビュー、問題把握、文章構成などに精粗はあるものの、ゼミ生全員が卒業論文執筆に真面目に取り組んできたことは大いに評価に値する。この卒業論文は紛れもなく「大学生活の到達点」であり、各人はここから社会人としての一歩を踏み出しさらに研鑽を積んでもらいたい。 |
キーワード1 | 高年齢者雇用安定法 |
キーワード2 | 雇用確保措置 |
キーワード3 | 私法上の効力 |
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