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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2019 |
ゼミ名 | 冨田 安信 |
タイトル | 時代と共に変化する働き方 |
内容 | 少子高齢化による人口構造の変化やテクノロジーの進歩など、社会のあり方は近年大き く変化している。その最たるものが労働力人口の減少だ。『日本の将来統計人口』の調査か ら、先40年で2000万人以上の労働力人口が減少するということがわかっている。この変化に対 応するためには、今まで労働力と考えられていなかった部分のある高齢者や女性の 社会進出を促し、進歩しているテクノロジーを積極的に活用していく必要がある。ただ、こ こには課題もある。定年退職を迎えた高齢労働者がこれまで通り活躍できる職場環境は少 なく、また、女性が仕事と家庭を両立できる環境が整っていない企業が多くあるということ が現状である。しかし同時に、高齢労働者や女性の活躍による成長を実現している企業やテ クノロジーの活用によって人手不足を補っている企業もある。そういった成功事例を模倣し、 これらの社会変化に対応していくことは、これからを働く上で欠かすことはできない。 |
講評 | 今年度のゼミ生の卒業論文のテーマの特徴は、人手不足をテーマに選んだ人が3人いたことである。1人は保育士・介護士の、1人はコンビニ店員の、1人はトラックドライバーの人手不足を取り上げた。人手不足なのに賃金が上がらない理由はそれぞれの業界によって異なる。保育・介護業界は政府の助成金によって事業が運営されているため、助成金が増えないと賃金も引き上げられない。コンビニ業界はフランチャイズ制を取っており、本部が収益を高めようとする行動が加盟店の収益を圧迫するしくみになっており、店員の賃金を引き上げるだけの収益があげられない。運送業界は規制緩和により中小の運送会社が増加して過当競争となり、運賃が低下して賃金も低下した。 働き方改革やワーク・ライフ・バランスに関連したテーマを選ぶ人が多いのは最近の特徴であるが、今年度も3人がこのテーマを選んだ。1人は有給休暇の取得率の低さに注目し、定年後、継続雇用された高齢社員が有給休暇を取る現役社員の仕事をカバーするという提案をしている。1人は、睡眠時間が短くなると疲労が蓄積し、労働生産性が低下するという研究を紹介するとともに、多くの企業が取り組み始めている健康経営についても調べた。1人はオーストラリアの人々の余暇を楽しみ、仕事とのメリハリのきいた生活ぶりを紹介している。 他のゼミ生のテーマも簡単に紹介しておく。1人は、大企業は新卒一括採用、中小企業は経験者の中途採用が合理的である理由を、それぞれの雇用システムと関連づけて議論した。1人は外国人技能実習制度の問題とその原因を分析し、解決策として韓国の雇用許可制度が参考になることを提案した。1人は『LIFE SHIFT-100年時代の人生戦略-』を読んで、時代とともに変化する働き方、とくに高齢者と女性の働き方、テクノロジーが仕事に与える影響について考えた。1人は若者の地方離れと東京一極集中の原因について調べ、若者の地方定着、地域活性化に必要な政策について考えた。 今年度のゼミ優秀論文には「運送業界の人手不足について」を選んだ。トラックドライバーの人手不足の現状、低賃金・長労働時間の現状を統計データによって確認し、労働条件が悪い理由、改善しない理由を運送業界のしくみを詳しく見ることで明らかにした。そして、考えられる改善策について提案している。論文の組み立てがしっかりしており、後輩たちの参考になるのではないかと思う。 |
キーワード1 | 長寿化 |
キーワード2 | 労働力人口 |
キーワード3 | 高齢者雇用 |
キーワード4 | 女性の社会進出 |
キーワード5 | テクノロジーの進歩 |
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