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学科 | 社会学科 |
年度 | 2019 |
ゼミ名 | 轡田 竜蔵 |
タイトル | 中国の戸籍制度と初等教育の機会不平等―天津市の小学校募集制度を事例として |
内容 | 中国の現行の社会保障・財政投入・人口管理などの制度は「戸籍(本籍地)本位」の性質を持っている。このため、制度上関連政策が、「現住所と本籍地が一致しない」流動人口に適用できないことは明らかである。初等教育は小学校教育を指し、非教育者が文化的知識の基礎を固め、基本的な生活に備える教育を指す。児童の全面的発達のために実施される初等教育は、義務教育の第一段階である。流動児童・制度の問題を解決するうえで我々は、社会の公平な利益を守り、経済社会発展を促進するという実際の需要から出発する必要がある。 本稿では「戸籍制度に基づく初等教育募集制度が初等教育資源分配の与える影響」をリサーチクエスチョンに設定し、中国改革開放以来の戸籍制度及び天津市の入籍制度の変化に関する資料をまとめ、戸籍に基づいた「入学学区の区分」募集制度は非都市戸籍の子どもにどのような格差をもたらしているのかを検討することを目的とする。2014 年以来、天津をはじめ、各都市の小中学校は戸籍制度に基づいて、学生能力を問わず「入学学区の区分」募集制度を行い、当該都市の戸籍を持たない子ども入学を制限した。「「入学学区の区分」制度により初等教育資源分配不平等問題をめぐる、天津を事例として、都市籍と農村籍における教育達成、教育機会の違いについて考察した。 |
講評 | 中国の都市への人口流入に伴う諸問題、戸籍制度に基づく差別に関わる先行研究は数多い。そのなかにあって、この論文は、単なる制度的な分析にとどまらず、インタビュー調査を実施することによって、中国有数の大都市である天津市の昨今の都心の中産階級の社会事情に焦点を合わせ、そこから見た制度的矛盾を問うているという点で、社会的な意義がある。本論文では、天津市の人気小学校区における戸籍差別の存在が的確に捉えられているが、その取材ケース数はまだ少ない。地域調査から得られる資料をボリュームアップし、幅広い関係者への取材から核心的な問題を取り出すことができれば、より問題の射程は広がり、この研究を通して見えてくる中国の大都市の社会の断面図は、より鮮明な像を結ぶと考えられる。 |
キーワード1 | 小学校入学差別 |
キーワード2 | 中国の戸籍制度 |
キーワード3 | 中国の流動人口子女の教育 |
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