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学科 | 社会学科 |
年度 | 2019 |
ゼミ名 | 轡田 竜蔵 |
タイトル | 社会背景から探る「複合型書店」の役割と機能 |
内容 | 本稿では近年、全国的に普及している一方、一部では批判を受けている書籍を売る以外の機能を持った書店を「複合型書店」と定義づけ、その存在意義や普及の背景を検討した。まず、日本に書店が誕生した江戸時代から現代までの書店の歴史と社会背景を独自に分類し、書店と歴史には強い結びつきがあるという結論に至った。それらを基に、フィールドワークと資料分析を軸とし、複合型書店の事例分析を行った。その中から全国的に普及し、均質化が進んでいる店、新たな機能を追求している個人経営店の2つに分類し、複合型書店は書籍を購入することよりも、家や職場に並ぶ居場所であること、数少ない紙の書籍に触れる場所であることを確認した。複合型書店は書籍を媒介とし、人々が集まる場所であり、消費社会の変化のなかで必然的に発生した書店である、と結論した。 |
講評 | 本論文は、近年増加している、書籍を売るだけではない、新しい空間づくりを試みている新しいタイプの書店を「複合型書店」とよび、その多様な展開について、東京・大阪・京都でのフィールドワークも行うなど、精力的な資料収集に基づき、考察した力作である。多岐にわたる複合型書店の展開について、自分なりに複数のマトリックスを作って整理を試みている点が興味深い。特に、地域文化の拠点としての複合型書店の展開を論じた章において、書店・出版社が歴史的に集積してきた京都の文脈の特色について考察した点に論文の個性が出ている。著者は本論文を消費社会論の文脈に位置づけているが、複合型書店の作り手の意図の分析にとどまらず、書店の空間を利用し、消費する人々の側からの見え方についても考えてみれば、その観点はより鮮明なものになるだろう。 |
キーワード1 | 複合型書店 |
キーワード2 | 居場所 |
キーワード3 | 消費 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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