詳細
学科 教育文化学科
年度 2019
ゼミ名 越水 雄二
タイトル 道徳教育はなぜ批判・タブー視されているのか
内容 道徳教育は、議題に上がるたびに様々な批判の声が上がる。私は、終戦・敗戦直後に総司令部が修身教育を否定したことで現在の道徳教育においても教えることに対して批判的・保守的になってしまっていると仮説を立てた。その検証のため終戦・敗戦直後から1950年代を視野に入れ、第1章では総司令部、第2章では米国教育使節団、第3章では文部省がそれぞれ修身教育についてどのような方針を考え、対応したのかをまとめる。
 その結果、主に道徳教育が批判されている理由は、軍国主義的・超国家主義的な教育へと再び戻ってしまうのではないかというものであった。さらに総司令部が修身教育を否定したとする仮説とは異なり、修身科の廃止を決定したのは文部省であった。総司令部、米国教育使節団ともに修身科の批判はしていたが軍国主義・超国家主義的な内容を排除した修身科であれば存続してもよいとしていた。
 さらに文部省は修身科を廃止し、新しく修身科を克服した公民科を設けようとしていたがCIEの勧告により社会科と変わってしまったことで戦前の修身教育を克服することなく道徳教育が行われている。修身教育という過去を吟味し検証することに道徳教育が教科化された今こそ学ぶべきものがあり、重要な研究となるだろう。
講評 「西洋教育文化ゼミ」では2019年度に14名が卒業論文を提出しました。テーマの設定は全く自由ですが、次に列挙する六つの傾向が認められる結果になりました。

第一に、イギリスの紅茶文化やコーヒーハウス、フランスのカフェといった、飲物を介した人びとのつながりの在り方から現代人の生活に必要なものを考えるテーマ。第二に、グリークラブと音楽史、柔道部と武道教育のように、大学で熱心に取り組んだ芸術やスポーツに関するテーマ。第三に、個人の教育思想と実践としてルドルフ・シュタイナーを2名がテーマにし、第四に、地域の教育文化として北欧の神話や学校教育制度と、北欧諸国と並んで子どもの幸福度が高いと言われるオランダが取り上げられました。第五に、フランスの映画や文学に関するテーマは、映画や舞台芸術への関心から選ばれたものです。そして、中世の女性観と女子教育や現代女性の生き方がテーマにされた背景には、ジェンダーをめぐる問題への関心があります。

以上の六つの柱からなる14の卒業論文には、調査と考察の視野の広さと深まりの点で差が見られるのは残念ですが、ゼミ生が自分の興味関心から執筆を進め、それぞれに可能な範囲で色々な工夫や努力をした跡が認められる点は良かったと私は思います。研究テーマについて各自が調べて考えた内容と、ゼミで中間報告と検討の議論を重ね、提出前には原稿を読み合い確認した経験などが、皆さんの財産になることを祈ります。
キーワード1 総司令部
キーワード2 米国使節団
キーワード3 文部省
キーワード4  
キーワード5  
戻 る
Copyright (C) Doshisha University All Rights Reserved.