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学科 教育文化学科
年度 2019
ゼミ名 中川 吉晴
タイトル ベネターの「反出生主義」と生の肯定 ―九鬼周造の「偶然性の哲学」をとおして―
内容 本論文は生(生み)の否定を分析哲学的に主張するデイヴィッド・ベネターの「反出生主義」に潜む陥穽を指摘し、それを克服するという仕方で、生を肯定することを目的としている。九鬼周造の「偶然性の哲学」を通して彼が目指す「生き方」をモデルとして整理しなおすという手法を用いた。結果として、ベネターの主張が内包するニヒリズムを克服することを通して「生の肯定」の可能性に迫ることができた。第1章では反出生主義の概要を説明し、国内のベネターに係る先行研究を吟味した。第2章ではベネター論の整理を行った。彼の論理の核心に触れる部分を中心に再構成をした。第3章ではベネターの主張の陥穽を指摘し、九鬼の「偶然性の哲学」をモデルにして、ベネター的ニヒリズムに応答した。
講評 本論文は、反出生主義に関してベネターの思想を周到に検討し、そのうえで、ベネターの議論にふくまれるニヒリズムの問題点を抽出して、さらにそれに応答する形で九鬼周造の偶然性の議論を導入し、反出生主義を乗り越える立場を打ち出している。文献研究、考察、議論展開のいずれにおいても秀逸な論文である。九鬼周造の哲学をこのような文脈のなかでとりあげている点が高く評価できる。
キーワード1 反出生主義
キーワード2 偶然性の哲学
キーワード3 デイヴィッド・ベネター
キーワード4 九鬼周造
キーワード5 生の肯定
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