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学科 社会学科
年度 2009
ゼミ名 小林 久高
タイトル 日本の美意識に関する考察――社会と美の関係性――
内容  日本の歴史的な美意識はどのようにして社会的に認められたのだろうか。また、女性が装うことにはどのような意味が含まれているのだろうか。美意識の歴史を探ると、古代から現代までを通じて、日本の伝統的な美意識である「顔隠しの文化」が根底にある。これは顔の具体的な描写や、感情表出を避ける美意識である。日本には西洋的な美意識の輸入を経て2つの美意識が共存していく。また、美意識は社会の期待であり、そうした期待に応えることによって、社会的に美しいと認められるようになる。これが化粧の意味であり、またここには社会と美のコミュニケーションがみられる。「顔隠しの文化」に親しんできた日本人は感情表出を避ける傾向があるため、その顔と感情にはずれが生じやすい。2つの美意識をあわせもつ日本人だからこそ可能なアプローチを見つけ出し、誤解や不安なくコミュニケーションしあえる関係を構築することが期待される。
講評  本年度の卒業論文も、ゼミ生の関心を反映して多様なものとなった。それらの論文は、「食意識」「笑い」「日系二世と三世の意識」「美意識」「幸福」など、さまざまな社会意識を対照としており、方法についても、調査データの分析、ドキュメント分析、文献研究、概念的研究と多様である。
 すべての論文からは学生の真摯な努力の後が見られ、結果はほぼ満足のいくものである。ただ、もう少し時間をかければすばらしい論文になると思われるものもあり、この点は少し残念に感じている。
 データ収集の難しさ、分析の難しさ、論文構成の決定の難しさ、締め切りに間に合わせて執筆する難しさを学生たちは深く感じただろう。悩んで一時何も書けなくなった学生もいたようだ。それでもなんとか書き上げた学生たちの底力はたいしたものである。ゼミ生全員、今回の執筆の経験を卒業後にも生かして欲しいと思う。

キーワード1 美意識
キーワード2 化粧
キーワード3 歴史
キーワード4 顔隠しの文化
キーワード5  
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