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学科 | 社会学科 |
年度 | 2009 |
ゼミ名 | 小林 久高 |
タイトル | 幸福と社会――幸福の社会的源泉と幸福に関わる諸思想の俯瞰―― |
内容 | 本稿の目的は、誰もが求めているが捉えどころの無い幸福というものについての理解を深めることである。まず不幸・幸福の要因として根源にある大きな要素、疎外・連帯について論述する。資本を持たない労働者は自己にとって非本来的なものの生産に従事しなければ生きていけないという生産手段からの疎外。その中にあって個人を力づけ、幸福を感じさせる連帯。これらを踏まえた上で、幸福観に影響を与える思想、個人主義と集団主義についての諸理論を整理する。個人・集団どちらに偏りすぎても不幸が生まれることに注意しなければならない。続く実証分析では、理論研究の裏づけと諸思想の幸福のさらに詳しい分析を目指す。ここでは自律志向・連帯志向という2つの軸を使って、個人主義・集団主義・享楽主義・道徳的個人主義という4つの類型を作り、それぞれの幸福観の違いや幸福感の規定要因を追求する。その結果、集団を軽視しながらも連帯的幸福を感じる個人主義、集合的沸騰から幸福を得る集団主義、多くを望まず現在に満足することで静かな充実感を得る享楽主義、連帯を原動力に自己実現へと突き進む道徳的個人主義の姿が浮かび上がった。 |
講評 | 本年度の卒業論文も、ゼミ生の関心を反映して多様なものとなった。それらの論文は、「食意識」「笑い」「日系二世と三世の意識」「美意識」「幸福」など、さまざまな社会意識を対照としており、方法についても、調査データの分析、ドキュメント分析、文献研究、概念的研究と多様である。 すべての論文からは学生の真摯な努力の後が見られ、結果はほぼ満足のいくものである。ただ、もう少し時間をかければすばらしい論文になると思われるものもあり、この点は少し残念に感じている。 データ収集の難しさ、分析の難しさ、論文構成の決定の難しさ、締め切りに間に合わせて執筆する難しさを学生たちは深く感じただろう。悩んで一時何も書けなくなった学生もいたようだ。それでもなんとか書き上げた学生たちの底力はたいしたものである。ゼミ生全員、今回の執筆の経験を卒業後にも生かして欲しいと思う。 |
キーワード1 | 幸福 |
キーワード2 | 疎外 |
キーワード3 | 連帯 |
キーワード4 | 思想 |
キーワード5 | |
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