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学科 | メディア学科 |
年度 | 2019 |
ゼミ名 | 勝野 宏史 |
タイトル | 戦争映画が創り出す虚像の日本 |
内容 | 第二次大戦の記憶の風化が危惧される中、現代の戦争映画が戦争の実態を視聴者に継承する試みには困難が予想される。現代日本では解釈の容易さ・登場人物への共感が映画に要求され、そうした映画をベースに歴史を解釈する傾向が見られるためだ。この傾向は「感情化」と呼ばれる現象に通じ、当時の国家間・集団間の複雑な構造を覆い隠すことで客観性が失われる。戦争映画が記憶の忘却に加担する実態を日本社会はいかに克服すれば良いのだろうか。本論文前半では、記憶の継承に対する日本と外国の姿勢の違いや「感情化」誕生の背景を、後半では「感情化」がもたらす戦争責任の所在浮遊が、今日に残る戦後処理に対して大きな障害となる危険性を述べていく。最後に、メディアを享受する視聴者自身による当時の社会構造の緻密な分析を解決策として提論を終える。 |
講評 | 今年度は多様なテーマからなる22の卒業論文が提出され、大きくは以下のカテゴリーに分けることが出来た。1.社会・文化的価値観・アイデンティティ 2.メディア環境・リアリティ 3.表象(ジェンダー・他者・地域) 4.消費社会・資本主義・デザイン。本ゼミにおいて卒業論文執筆の際の目標として繰り返し強調してきたのは、トピック重視の狭い範囲で明快な議論を展開することではなく、具体的な現象とその解釈の往還の中で自分なりの問いを見出し、その問いを追求する中でさらなる大きな問いにたどり着くということであった。個々それぞれが別々のテーマに着目しながらも、最終の口頭試問において明らかとなったのは、すべての論文が何らかの形で「変容」「流動化」もしくは「存在の不安」という問題意識を有しているということであった。最後にゼミ全体としてその様な大きな問いを共有することができたのはゼミ参加メンバーが主体的な議論を重ねてきた結果であろう。 |
キーワード1 | 感情化 |
キーワード2 | 集合的記憶 |
キーワード3 | |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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