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学科 | 社会学科 |
年度 | 2009 |
ゼミ名 | 立木 茂雄 |
タイトル | なぜ人は嘘をつくのか――自己と自己物語が作り出す“フィクション”世界―― |
内容 | この論文は、「嘘をつく」という日常的に起こっている現象を社会学的に解明するものである。カナダの社会学者であるアーヴィング・ゴフマンは他者との対面的相互行為を研究する中で印象操作に注目し、人びとが状況や相手によって態度を変え、その数に対応する役割を使い分けていることから「人間は多元的役割演技者である」と考えた。これは浅野智彦が論じる「自己物語論」と深い関連性がある。自己物語とは「自分について語ること」であるが、そこには必ず「語りえないもの」が含まれる。つまり語り手は意図的・非意図的にかかわらず、聞き手に寄り添うように語られる自己物語の性質上「事実の隠蔽」は避けられない。そして個人が状況や他者の数に対応する数の役割を持つのであれば、その役割に対応する数の自己物語を必然的に語ることになる。そこで第三者の視点に立った場合に、相手との間に生じてしまう矛盾を「嘘をつくこと」であると解釈することができる。 |
講評 | 2009年度立木ゼミの卒業論文では、キリスト教青年活動の国内比較、同志社4高校卒業生の比較研究、障害をもつ学生の大学における学習保障、酒場での一人飲み、フリー・ハッグ現象の盛衰、家族内での相互の呼称、アトピー性皮膚炎に関する医療社会学など、非常に多様なテーマが取り扱われました。それぞれ3回生後半から文献展望を始め、実証研究を志向しました。例年になく就職活動が厳しいなかで各ゼミ生諸君は最後まであきらめず熱心に社会学的研究に取り組んだと思います。 |
キーワード1 | 多元的役割演技者 |
キーワード2 | 自己物語 |
キーワード3 | 語りえないもの |
キーワード4 | 自己の多元化 |
キーワード5 | 現代社会 |
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