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学科 | 社会学科 |
年度 | 2020 |
ゼミ名 | 森 千香子 |
タイトル | 首里城はいかにして沖縄のシンボルになったか―首里城復元と本土復帰に焦点をあてて |
内容 | 2019年10月に火災事故によって焼失した首里城は、一刻も早い再建が求められる動きのなかで、沖縄にとっての「シンボル」であると語られた。しかし、首里城が「シンボル」であるとは具体的に何を意味しており、いつ頃から、どのような経緯でそのように語られるようになったのか。このような問題関心から、本論文では、首里城がいかにして沖縄の「シンボル」になったかについて、沖縄の本土復帰後からの首里城復元事業に焦点をあてて検討を行なった。 1945年の沖縄戦によって焼失した首里城は、その復元のプロセスのなかで、本土復帰後の沖縄の社会状況に応じて様々な目的や意義を与えられることで「シンボル」となった。それは、沖縄の人々にとって「アイデンティティを象徴する」ものであり、あるいは「国に戦争の責任をとってもらう」ものとしてのあり方が求められたこともあった。 また、インタビュー調査を通じて、「シンボル」としての首里城像の裏で、沖縄県の人々にある「隔たり」ともいえるものの存在が明らかになった |
講評 | 本論文は二つの点で評価できる。一点目は「首里城は沖縄のシンボルである」という言説を出発点として、そのような「現実」がどのように成立したのか、また首里城が沖縄の人びとにとってどのような意味をもち、それがどのように変化してきたのかを、研究書、新聞、行政文書など多様な文献・文書を渉猟しながら検証した点である。二点目は、インタビュー調査を通して、住民が首里城をどのように捉え、意味を付与しているのかについて、豊かな語りを引き出し、公式の言説との間にあるギャップを明らかにし、首里城のもつ意味や、シンボルとして捉えているかどうかに、大きな多様性があることを明らかにした点である。前者に焦点をあてた前半と後者を扱った後半をより丁寧に接続すれば完成度をさらに高めることはできたが、歴史研究と社会学研究を架橋する力作となった。 |
キーワード1 | 首里城 |
キーワード2 | シンボル |
キーワード3 | 沖縄 |
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