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学科 社会学科
年度 2020
ゼミ名 森 千香子
タイトル 現場視点による「宇治学」の批判的検討
内容  近年、地方での人口減少などの問題により、地方都市間での競争が激化している。これに対応するため、地方自治体はさまざまな取り組みを行っている。このような中、京都府宇治市では、地方創生の取り組みの一環として、「宇治学」を実施している。
 宇治学は、宇治市が総合的な学習の時間として実施している授業の名称である。宇治学は、副読本を活用し、地域と連携・協同して授業を行っているという点に、その特徴がある。本研究では、この宇治学の誕生やその具体的内容を整理するとともに、インタビュー調査を通じて、宇治学の実態を現場視点から考察した。調査の結果、カリキュラムの統一や思考ツールの活用、地域との関わりという意義が明らかになった。一方、宇治学の再編の難しさや、教員の負担の大きさ、宇治学へのモチベーションの低さ、宇治学の画一化という問題点が明らかになった。インタビュー調査を通じて明らかになった行政と現場の乖離に対し、今一度、理念と実際の困難の双方を直視し、宇治学に取り組むことが必要である。
講評  宇治市の公立小中学校で総合的な学習の時間に教えられるようになった「宇治学」については、立案者自身が執筆した紹介目的の文献以外は先行研究がほとんどない。だが、そうしたなか、数は限られているものの、貴重な情報をもつインフォーマンとからの聞き取りを通して、できるかぎり批判的な考察を行おうとした努力のあとは論文全体をとおして感じられた。こうしたローカルな動きを、日本の教育政策や、人口減時代の自治体間競争といった大きな動向とより結びつけて論じることができれば、より社会学的に意義のある論文となったであろう。
キーワード1 総合的な学習の時間
キーワード2 宇治学
キーワード3 副読本
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