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学科 社会学科
年度 2020
ゼミ名 森 千香子
タイトル 限界集落の祭りの保存・維持に見る「撤退の農村計画」「むらおさめ」の検討 ―花祭を事例に―
内容  山間部の集落の高齢化や人口減少による衰退を指す限界集落という言葉があるが、それは高度経済成長期に始まる中山間地域の人口減少をルーツに持っている。過疎化や限界集落化に悩む中山間地域では、それに対応した様々な取り組みが行われてきたが、その取り組みを筆者の分類によって「振興の視点」と「撤退の視点」に分けて整理を行った。
 東海地方の山間部の各集落に伝承される花祭は限界集落化のあおりを受け、衰退や消滅に瀕している。花祭の保存・維持に関わる様々な取り組みが行われているが、本研究では、その実際の取り組みから、少々リアリティに欠けた、ラディカルな議論も含まれる「撤退の視点」を検討し、それが実際の集落の状況にどれだけ適用できるかについて明らかにした。
 その結果、「撤退の視点」は実際の集落の状況にそのまま適用するのには限界がある一方で、それは同時に「振興の視点」の取り組みとも多くの共通点を持ち、両者は必ずしも対立するものではないという推測を示した。
講評  限界集落問題は単なる人口問題ではなく、文化の喪失の問題でもある。本論文は、このような問題に対応するためのひとつのアプローチとして、作野広和が提唱する「むらおさめ」概念 保全にこだわるのではなく、「積極的な撤退」を到達目標とする に注目する。そして限界集落対策として従来提唱されてきた「振興の視点」と、作野の議論に見られるような「撤退の視点」が花祭の保存・維持の取り組みにおいて共に見られることを明らかにし、両者が対立するものではなく相互補完する可能性を指摘した。目の付けどころは大変ユニークで、先行研究の整理も手際よい。しかし時間不足とコロナの影響もあり、二次文献の整理に終わり、実証が十分できなかった点が惜しまれる。
キーワード1 限界集落
キーワード2 祭り
キーワード3 維持
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