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学科 社会学科
年度 2020
ゼミ名 轡田 竜蔵
タイトル 世代別にみた芸舞妓のキャリア―上七軒の事例をもとに―
内容 現在、芸舞妓は「日本らしさ」のシンボルの1つとして世界中に知られている。京都の観光産業は彼女らの存在なしでは成り立たない。しかし、花街やそこで働く芸舞妓たちは時代に応じた変化を受け入れながら花街を守ってきた。本研究では、20代、30代、40代、50代と年代を分けた上七軒で働く4名の芸妓にインタビューを依頼し、キャリアや上七軒に対する考え方について世代や時代間で違いがあるのかについて調査した。
調査を通して、世代ごとに違いが見られたのは、芸妓本人よりも親など周囲の人間の芸妓という職に対するイメージだった。時代を遡るほどに「芸妓=水商売」という認識からくる反対を受けていた。一方、花街や芸妓という職に対する思いは、あまり世代間での相違が少なく茶屋やお客との「信頼関係」をベースに成立している上七軒の様子がうかがえた。
講評 本論文は、京都市上京区の上七軒の芸舞妓4人に対するライフヒストリー・インタビューを軸として組み立てられている。アルバイトを通して芸妓と知り合い、築いた信頼関係から、ハードルの高い「一見さんお断り」の世界に入り込み、さらには個人のキャリア、結婚を含む将来の生活観を軸に踏み込んだインタビューに成功した点は高く評価できる。芸舞妓の労働世界を取り巻く時代の変化を描くために、世代を異にする対象を選んでいる点も工夫がみられる。取材を踏まえ、「疑似的家族関係」のもとで成り立ってきた芸舞妓の伝統的な働き方の課題を指摘し、それを変革するための新しい試みについて記述しているが、伝統継承を重んじる業界に共通する論点として発展させたい。また、時代に合わせたサービスの在り方の変化も描いているが、その文脈のなかで、コロナ禍以降の芸舞妓の困難も描かれる。単なる感染症マターを超えて、芸舞妓という仕事の未来像をどう描いているのか、是非注目してほしいところである。
キーワード1 上七軒
キーワード2 芸舞妓
キーワード3 キャリア
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