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学科 | 社会学科 |
年度 | 2020 |
ゼミ名 | 轡田 竜蔵 |
タイトル | 小商いとしての銭湯―近代家族式経営と新たな動き― |
内容 | 近年、全国的に銭湯の減少が顕著である。一般的な原因として内風呂付き住居に伴う銭湯需要の低下やスーパー銭湯の台頭が考えられてきた。本稿では銭湯における近代家族経営がもたらす事業の継続性の阻害に着目し、京都市上京区の銭湯にアンケート及びインタビュー調査を実施した。その結果近代家族経営による外部への閉鎖性によって後継ぎ問題が生じていることのみならず、設備費用が莫大であり、かつ業界自体が縮小しているため新規参入が構造上難しいことなど銭湯特有の問題が原因の根底にあることが判明した。しかし調査を行う中で、外部の人間が銭湯を継ぐことを専業としている集団や廃業した銭湯をリノベーションすることで新たな価値を見出している事例に出会うことができた。縮小する業界の中でも彼らの活動によって光明を見出すことが出来た。 |
講評 | 本論文は、銭湯がなぜ衰退しているのかという問題について、特に事業継承の論理に着目して考察している。論文全体として論理展開に説得力がある。銭湯継承が困難になったのは、近代家族的規範が事業継承の論理に持ち込まれたためだという仮説をもとに、京都市上京区内の10軒の銭湯全部に取材を試み、アンケート調査とインタビューに基づき、各銭湯の事業継承の論理を類型化し、この仮説を詳細に検証する。その結果、近代家族規範仮説に加えて、この業界への新規参入が困難である事情が重要である点が明らかにされた。他方、筆者はこの困難を乗り越えて、家族以外が継承して創造的な銭湯文化を起こした事例、あるいは、廃業した銭湯の空間をカフェとして活用した事例も取材している。本論文は事業継承の問題に限定して論じているが、銭湯業界についての組織論的アプローチ、地域コミュニティのなかの銭湯空間の役割、日本の自営業の継承の課題等、関連する多様なテーマに広がる展開も期待したいところである。 |
キーワード1 | 近代家族 |
キーワード2 | 銭湯 |
キーワード3 | 後継者不足 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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