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学科 社会学科
年度 2020
ゼミ名 轡田 竜蔵
タイトル 若者の共食に対する意識について―新型コロナウイルスの影響を受け人々の食事に対する意識は変化したのか―
内容 若者は共食に対してどのような意識を持っているのだろうか。新型コロナウイルスの流行に伴い、食事に対する考え方は変化したのか。これが本研究の問いである。
近年、孤食への需要が高まっており、共食機会は減少傾向にある。共食といっても種類は様々だが、共食には「人とコミュニケーションがとれる」という機能がある。そこを踏まえ、本研究では、若者の共食に対する意識と新型コロナウイルスの流行による食事に対する意識変化について明らかにすることを試みた。同志社大学に通う学生に対して量的調査とインタビュー調査を実施し、問いについて分析した。その結果、ほとんどの対象者が共食を好み、共食には「情報の収集や人間関係の構築という価値がある」と考えていた。そして、新型コロナウイルスの流行がきっかけで、家族との共食を好む方向への意識の変化もみられた。家族と過ごす時間が長く、必然的にコミュニケーションをとる頻度が増えたことが要因と思われる。外食機会や友人との共食機会の減少、自炊機会の増加など、新型コロナウイルスが人々の食事に与えた影響は大きい。調査の中でも「終息後、食事形態は変化していくと思う」という回答が多く、新型コロナウイルスが今後の新しい食文化を形成していくきっかけとなる可能性がある。
講評 当初、筆者は、孤食化が進むなかにおける、共食文化によるコミュニティ形成の実践に注目した研究計画を立てていた。ところが、新型コロナウイルスの流行を受けて、大人数での共食イベントが困難になったのを受けて方向転換を余儀なくされた。その結果、コロナ禍を受けた大学生の共食意識の変化について、同志社大学のいくつかのコミュニティを対象とした量的調査を行ったほか、「共食派」と「孤食派」の対比を主軸にして6人を対象にしたインタビューを実施した。大学生の食に関する意識変容について目配りよく論点をおさえている点は、評価できる。「共食」が感染の主要な原因とされる逆風状況があり、それに代わる様々な新しい食との関わり方が生まれてきたが、筆者は調査結果に基づき、共食文化はしぶとく発展していくことを予測する。本論文は、学生の共食意識に限定して記述しているが、社会における様々な人々にとっての共食文化の役割やそのコロナ後のあり方について、より幅広い観点から考えたいところである。
キーワード1 共食
キーワード2 若者
キーワード3 新型コロナウイルス
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