詳細 | |
---|---|
学科 | 社会学科 |
年度 | 2020 |
ゼミ名 | 轡田 竜蔵 |
タイトル | 日本型企業社会と大卒女性の一般職志向―就職活動を終えた女子学生へのインタビュー調査から― |
内容 | 労働人口の不足やフェミニズムの観点から女性活躍推進が訴えられているにもかかわらず、実際に働く女性の約7割は管理職登用を望んでいない。この溝の発生要因を明らかにするためには、総合職として活躍できる能力を持っていながら一般職を選択した女子学生のライフキャリア観について研究する必要があると考えた。本稿では、同志社大学の女子学生にインタビュー調査を実施し、新卒の段階で一般職のキャリアを選択した理由について、総合職志向ケースとの比較を通じて検証を進めた。その結果、一般職志向ケースは、良妻賢母像の再現や階層の再生産を第一目的としてライフキャリアを描いていることが判明した。彼女たちには、日本型企業社会は男性優位なもので、家事育児は女性の役割であるという良妻賢母規範が形成されている。大卒女性全員に総合職としての活躍を求めたいのなら、女性も企業社会で活躍できるという保障を提供し、キャリア形成と階層の再生産が両立できる環境を整備すべきなのではないだろうか。 |
講評 | 同志社大学は、学生の就職先の情報は公開しているが、総合職、一般職、地域限定正社員等の区別に基づく情報は非公開である。この点について、筆者は独自取材から、新卒女子学生の約4割が実は一般職が占めているという現実を発見する。どうして多くの大卒女性は、総合職として活躍できるにもかかわらず、あえて将来への管理職登用も見込めない一般職を望むのか。本論文はこの問いを軸にすえ、女子大生の一般職志向についての合理的な理解を試みた長編の力作である。就活を終えた10人の女子大生へのインタビューの内容は生々しい。一般職志向の学生の女子力の高さや階層的地位に対する自己肯定感の高さの一端が赤裸々に描かれており、近年のポストフェミニズムの議論につながる問題含みの記述である。ただ、筆者も認めるように、このキャリア選択が孕むリスクの問題、性差別の課題等をシビアに評価するには、女子大生が一般職として仕事を始めた後、新たに直面する問題に関する調査研究を踏まえ、考察を深めたい。 |
キーワード1 | キャリア |
キーワード2 | 女子学生 |
キーワード3 | 良妻賢母 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
戻 る |