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学科 社会学科
年度 2020
ゼミ名 轡田 竜蔵
タイトル 自己都合型の専業主婦―札幌市の事例を中心に―
内容 この論文は、社会保障も割と充実していて、働き口もある日本において専業主婦を選択する女性はなぜそのような決断をしたのか、また彼女たちは幸せなのか、をリサーチクエスチョンとした。また、共働き率が他の都道府県と比べ低く、専業主婦が多いとされる札幌市で、統計調査とインタビュー調査を行い、札幌市に専業主婦が多い理由を分析した。先行研究や国勢調査から、日本には未だ専業主婦が一定数存在し、その大多数は、子育てに専念したいといった「自己都合型」であることが分かった。しかし、彼女たちは自由意志の「自己都合」ではなく、周りの環境や企業体制による仕方のない選択と考えられる。これは札幌においては特に顕著であった。しかし、専業主婦の多くが幸せであり、専業主婦が多いことは問題ではない。女性が自分自身で「働きたい」「専業主婦になりたい」と決めることのできる社会形成が、真の意味での女性活躍推進なのではないか。
講評 本論文は、現代日本において専業主婦になるという選択はどのような意味を持つのかという問いに出発し、全国的に見ても専業主婦比率が高い札幌市の事例を中心に、統計分析、地域における子育て環境の分析、10人を対象としたインタビュー分析を組み合わせつつ考察している。筆者は、周燕飛『貧困専業主婦』の議論に依拠しつつ、貧困ではないマジョリティの専業主婦の状況に注目し、その大半は「不本意」ではなく、子育てを理由にした「自己都合」で労働市場から退出したのだと指摘する。その一方、「自己都合」は「自由意志」と同じではなく、社会的制約のなかでの限られた選択肢なのだという指摘もなされているが、この点に関して、もう少し当事者の不満や葛藤の語りに切り込みつつ、労働市場を退出するメカニズムに関する理論的考察を深めたいところである。また、札幌に専業主婦が多い背景として、道内に実家があっても距離が遠くてサポートを受けにくい地理的事情が示唆されるが、一般化できるかどうか興味深い。
キーワード1 自己都合型
キーワード2 幸せな専業主婦
キーワード3 札幌市の女性活躍推進の今後
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