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学科 社会学科
年度 2020
ゼミ名 藤本 昌代
タイトル 制度の変遷過程-京都の伝統産業を通して-
内容 京都には伝統産業を発展させるための制度が数多く存在している。本論文の目的は「なぜ新しい制度が次々と生まれるのか」という問いを明らかにすることである。伝統工芸士制度、オスカー認定制度、未来の名匠制度の3つに着目し、資料やインタビューを通して「制度が継続する過程」「類似の制度が成立する過程」を分析した。その結果、3点の考察が得られた。1つめは、伝統産業の変化である。伝統産業は規模の縮小に伴い、「保護×文化」タイプと「自立×産業」タイプという2つのタイプに分かれた。2つめは制度の過程である。制度はその時代における評価や望ましさを表わす指標であり、伝統産業の構造が変化した結果、新しい制度が次々と生まれていた。最後に先行研究との比較を行った結果、規範的システムと認知的システムが共存する制度の発見、規範的システムが細分化された制度の発見がなされた。この発見は「制度論」に新たな知見を加え、3つのシステム(規則的システム、認知的システム、規範的システム)にとらわれない制度の柔軟性を示すものである。
講評 本稿は京都の伝統産業に関わる制度について、「なぜ類似した新しい制度が次々と生まれるのか」という問題設定を行い、制度論のうちリチャード・スコットの制度の類型を用いた分析を行っている。用いている理論的枠組みは学部生には難しいものであったが、よく理解し、観察可能な制度の分析に適用できている。分析パートでは3年生の「社会調査実習」で発見された昭和中期の資料や新聞などから、制度が形成されるプロセス、制度が目的を変容させていく過程、パラドキシカルな部分を析出しており、3年生の研究をさらに展開させたものに仕上がっている。現代の制度についても企業情報を丁寧に分析し、さらにインタビュー調査によって現代の伝統産業に従事する人々の思い、支援する行政の立場など、制度に関わる人々の指向、葛藤を表現している。考察では再度、理論枠組みに戻り、著者の知見を積み上げており、優秀な論文に仕上がっている。
キーワード1 制度
キーワード2 伝統産業
キーワード3 京都
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