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学科 | 社会学科 |
年度 | 2021 |
ゼミ名 | 板垣 竜太・菊池 恵介 |
タイトル | 「ゆとり世代」言説は何をもたらしたのか??ステレオタイプの構築とその社会的機能の検証?? |
内容 | 日本で耳にすることの多い「○○世代」という世代分けの中でも、とりわけ「ゆとり世代」論については、メディアを通じて大きな盛り上がりを見せた。本稿は、「ゆとり世代」に対してどのようなステレオタイプが、なぜ作られたのか、またそれは「ゆとり世代」当事者にどのような影響を及ぼしたのかを明らかにする目的で「ゆとり世代」当事者及び先行世代に対する調査を行った。その結果、「ゆとり世代」言説を通じたステレオタイプの社会的機能が見えた。ステレオタイプは、自身の尺度では理解不能な存在を理解しようとする際に機能し、若者と親しい間柄にないために、若者が持つ価値観の理解に苦しむ先行世代ほどメディアによる「ゆとり」言説を受容しやすい傾向にあることが明らかとなった。つまり、ステレオタイプは当事者から遠い存在であるほど受容されやすいのである。これまで日本において世代論が繰り返されてきたのは、このようなステレオタイプに特徴的な機能が作用した結果であり、根拠に乏しい世代論終息のためには、自身も同じ時代を生きる当事者だという意識を持つことが必要不可欠であると考察する。 |
講評 | 本論文の最大の意義は、「ゆとり世代」を、あらかじめ何らかの特徴を共有する実体だという前提に立つのではなく、言説として捉えるとともに、さらにその言説がどのような機能を果たしたのかを検証したことにある。若者批判論の一バージョンとして、その虚構性を指摘するだけならば比較的たやすいが、当事者にあたる世代、親、会社の上司世代にまでインタビューや記述式のフォームによる調査をおこない、その言説がもった効果を類型化しながら示した点で、偏見研究の一ケーススタディとして興味深い研究となった。考察にもっとパンチがほしいが、全体としてよくできた論文である。 |
キーワード1 | ゆとり世代 |
キーワード2 | ゆとり教育 |
キーワード3 | 世代論 |
キーワード4 | ステレオタイプ |
キーワード5 | |
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