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学科 社会学科
年度 2020
ゼミ名 JENNIFER MCGUIRE
タイトル 高等教育のマス期とユニバーサル期を比較した大学生活の意義―1970年代と2010年代の同志社大学卒業生を対象とした事例研究―
内容  近年、日本における4年制大学への進学率は50%を超えている。アメリカの社会学者であるマーチン・トロウは、高等教育への進学率が同年齢層の15%未満の段階を「エリート」、15%~50%未満の段階を「マス」、50%以上の段階を「ユニバーサル」と分類しており、現在の日本の高等教育システムはユニバーサル期にあたる。
 本稿は、マス期とユニバーサル期の大学生活を比較し、日本における大学生活の意義とは何かについて明らかにするものである。そして、1970年代と2010年代の同志社大学卒業生を対象にフォーカス・グループインタビュー調査を行った結果、学生生活の意義が、目標志向、自己形成、社会に出る前の体験、重要他者との出会いに分類された。これらはトロウによるマス期とユニバーサル期の特徴、および当該年代の社会背景から、その時期区分に固有のものだと思われる性質がある一方、そうした時期区分を超えても共通する性質があることが明らかになった。新型コロナウイルスの影響で大学に通う機会が減っている現在、改めて大学生活の意義について考察する。
講評 今年度はコロナウイルスの影響で、ゼミ生は、就職活動、アルバイト、プライベートに於いて苦労したにもかかわらず、前向きな姿勢で一生懸命に頑張った為、全員(6名)が卒業論文を提出することができた。自分が研究したいことや関心を反映して、多様なものになった。研究テーマは、高等教育のマス期とユニバーサル期の比較研究、上海における母親の教育的願望と留学した子どもの性別の関係性、日本の大学生の「女性性」の認識とライフコースとの影響、Society 5.0における日本の労働市場に働く女性の展望、大学生にとっての音楽の役割、YouTubeを利用する現代日本の若者における思考法と行動様式、まで幅広い分野に渡る。多彩なテーマを取扱いながらも、ほとんどの卒業論文では社会学的又は人類学的なアプローチと理解が十分に見える。調査方法に関して、4名は半構造インタビュー、1名はグループインタビュー、1名は資料分析を行った。ほぼ全員が「考察」の執筆をすることに最も苦労した。特に質的調査で得られたデータを分析し、エッセイ的な主観的書き方ではなく、学術的な面から議論して新しい発見を述べることは大変難しかったようだ。さらに、タイムマネジメント不足から、ギリギリに書き終わり推敲する時間が足りなかったゼミ生がいた。その「時間切れ」がやや残念である。しかし、最終的にはどの論文も興味深く楽しく読ませていただいた。全員、今回の執筆の経験を卒業後にも生かして欲しいと思う。
キーワード1 トロウ理論
キーワード2 大学生活
キーワード3 世代間比較
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