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学科 社会学科
年度 2020
ゼミ名 立木 茂雄
タイトル 児童期における社会的自我の発達-小学4年・6年次の日記をもちいたコレスポンデンス分析をもとに
内容 本稿は筆者自身が小学4年次と5年次に書いていた日記ログを参照し、当時所属していた社会の中でどのようにして社会的自我を発達させていたのかを考察したものである。日記ログのコレスポンデンス分析から、筆者は児童期において、社会と関係を結び、そして重要な他者たちと多様なコミュニケーションを行うことで、児童期の発達課題を達成しつつ、社会的自我を十分に発達させることができていたということがわかった。当時の筆者が、自分のやるべきことやしたいことを自分で見つけ、全力で取り組んでいたことが読み取れた。その中で関わる重要な他者との相互作用を通じて、筆者の「勤勉性」が育まれ、「有能感」を得ることによって児童機の発達課題を達成していた。さらに、友人や先生といった複数いる重要な他者の個人的態度や期待を取得していただけでなく、複数の他者の態度や期待を「一般化された他者」として自己の中に取り込むことができていたということがわかった。そして、「me」という客我を持ち、「こうであるべきである」というような観念を持ちながら、それに対して時には従順に、時には反抗的に「I」という主我を持って「me」に反応することで、「創発的内省」を繰り返し、自我を発達させていた。
講評 筆者は、小学校4年と6年生のときの担任の先生との日記ログをもとにミードの社会学的自己論の枠組みから精緻な実証分析による「私社会学」を実践しました。その結果、私と先生との語りは3つのグループに分かれること(①わたしの頑張りの記述から勤勉性や有能感にいたる、②4年時に特有な「意味の意識」と先生の応答、③否定的な記述の先生による肯定的なフォローを通じて対他的自己からの変容や一般化された他者像の受容が対自的自己の形成をうながすもの)を明らかにしています。身近な体験をミードの理論を使って一般化させた力量には目を見張ります。
キーワード1 社会的自我
キーワード2 児童期
キーワード3 発達課題
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