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学科 社会学科
年度 2009
ゼミ名 尾嶋 史章
タイトル 日本の貧困観――複雑化する貧困と国家・国民の認識――
内容  現代の日本は、貧困に対する関心が低いように感じる。2010年度から貧困調査が行われることが決定したが、それまで40年以上も実施されてこなかった。なぜ、これほど貧困に対する意識が低いのだろうか。そもそも貧困とは一体どのような状態を指すのか。これらの疑問から日本の貧困に対する認識(=貧困観)を調べることにした。本稿では、貧困がいかに定義されてきたか過去の研究から把握することからはじめ、日本人の貧困観に関するある調査結果や生活保護制度の内容も手がかりにして日本の貧困観を研究した。これまでの研究によると、「貧困」という言葉の概念は時代の流れとともに変化してきた。当初は生命を維持できるかという基準や金銭の欠乏状態から貧困をとらえていたが、次第に労働市場からの排除や家族関係の解体などといった社会関係からの孤立も視野に入れた幅広い概念となった。しかし、現代の日本人は未だ途上国や戦後の極貧のイメージを持つ人が多く、国家も広義の貧困概念を把握するようになったもののそれに対応できる救貧政策は発展途上であることがわかった。そしてその理由が、人々が可視化された貧困に固執していることや、日本全体の富裕意識の高まりにあるという結論に至った。
講評  卒業論文は、4年間の集大成。とはいうものの、なかなか集中するまでに時間がかかった人もいましたね。卒業論文は、一般的には早くテーマを決めた人が、最終的にはいい成果にたどり着きます。結果を見る限り、今年もそういうことだったようです。とはいえ、相関係数でいうと0.7程度の話です。遅く始めても、逆転ができるぐらいのパワーがある人が現れなかったのは、少々寂しい感じもします。
キーワード1 貧困観
キーワード2 社会関係
キーワード3 生活保護制度
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