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学科 教育文化学科
年度 2020
ゼミ名 奥井 遼
タイトル 人文社会科学における長期的有用性の検討 -経済的・短期的有用性という視点の必要性―
内容 2015年に起きた「文系学部廃止騒動」とそれによる社会や大学、経済界の反応から、人文社会科学などの非実学的な、いわゆる「文系」科目の有用性についての認識が不明確であるという課題が判明した。そこで本稿では、その課題に対応すべく、現在主張されている「文系」科目の長期的な有用性についての整理を行った。しかし、その長期的な有用性には、学問的な観点からの有用性に止まり、社会に有用であるという認識を拡大する視点が欠如していた。そこで、まず現代社会がネオリベラリズムなどの経済や技術開発中心の社会で、かつ価値基準や判断基準がそのような思考に固定化されている事実を示した。その事実を踏まえ、「文系」科目の有用性の認識をそのような社会に拡大して、「文系」学部を長期的に存続させていくためには、経済的・短期的な視点を取り込むことが戦略的に必要であることを明らかにした。
講評 大学教育、とりわけ「文系学部」での学びに関する論考である。著者自身も「文系学部」で学ぶ一人の当事者として、素朴な問題意識を出発点に、緻密で丁寧な議論によって、既存の「文系学部擁護」論を喝破する。すなわち、「役に立つ」とする立場にも、「役に立たないのがよい」とする立場にも与せず、いち学生から見た意義を探求している。大学で教える/学ぶものの足元を突き崩すような論考である。
キーワード1 大学教育
キーワード2 人文社会科学
キーワード3 有用性
キーワード4 非ネオリベラリズム
キーワード5 「文系」学部廃止騒動
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