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学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2020 |
ゼミ名 | 奥井 遼 |
タイトル | 子どもの触感する音・音楽 ―音楽療法への参与観察をもとに現象学から見る― |
内容 | 本論文では、筆者の1年以上に及ぶ発達支援事業所での参与観察により、音楽療法における音楽体験とは子どもにとっていかなるものなのかを明らかにした。音楽療法に関する研究が着手すべき問題として、起きている現象の根本そのものを検討することが重要だとし、現象学という新しい視点から考察した。具体的には、発達とともにタイコとの向き合い方が変遷した男児Tの事例や、大人の認識とは違って捉えられていた、子どもにとっての耐えられない音や逆に許容した音の事例、さらに耳障りにも聴こえるような大きな音を好んだ男児Rの事例を取り上げた。これにより、意思の疎通に障壁のある発達障害児と音楽療法士とをつなぐ“Communicative Musicality”が活かされていたことや、要求という発達にとって重要な要素を引き出していく場としてセッションが成立していることを明らかにした。以上から、音・音楽は他者と理解し合う上で言語的、身体的、認知的な障壁を超える力を有し、音楽療法は発達過程の子どもへの必要性が高く、大いに求められている体験であることが示された。 |
講評 | 発達支援所における支援の現場に1年あまり通い、音楽療法を中心とする活動において子どもたちの様子や変容について考察を加えるものである。子どもたちのコミュニケーションや知覚は独特であるが、「障害」として捉えることを越えたひとつの出来事として、音楽療法士「むっちゃん」による場作り、思い思いに手に取って音をかき鳴らす楽器、その場に立ち会う著者の知覚など、複数のファクターの関わり合いとして豊かに描き出される。 |
キーワード1 | 音楽療法 |
キーワード2 | フィールドワーク |
キーワード3 | 現象学 |
キーワード4 | 発達支援 |
キーワード5 | Communicative Musicality |
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