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学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2020 |
ゼミ名 | 奥井 遼 |
タイトル | 子どもと大人がぶつかる空間 ―フィールドワークからみえる「子ども食堂」における文化的交じり合い― |
内容 | 本稿では、「子ども食堂」における長期のフィールドワークから得られる事例をもとに、「文化的交じり合い」という観点からその機能を提示する。近年急増する子ども食堂は、多かれ少なかれ「貧困支援事業」という見方をされるが、そこに集まる子どもたちを論じる上で、こうした見方は必ずしも十分ではない。そこで本稿では、ブルデューの「ハビトゥス」の概念とバーンスティンの「言語コード論」を手掛かりに、フィールド特性のひとつである「同和地区」という生活環境がいかにして同和地区の文化を生成しているか明らかにした。その上で、フィールドワーク先での事例検討を通して、子どもたちとボランティアスタッフらの文化的交じり合いがいかにして発生しているか論じた。その結果、同和地区という背景を持った地域の子どもたちと、そこに現れる「他者」としてのスタッフらとがひとつの活動空間において遊びや食事などのコミュニケーションを共にすることで、文化的性向の衝突や再構成が生み出される過程が示された。 |
講評 | 「子ども食堂」や「同和地区」といえば貧困や差別など、とかく問題(解決)と結び付けられて語られがちなテーマである。しかし本論文は、これらの言説を十分に踏まえつつも一定の距離を置き、ブルデューやバーンスティンを援用しつつ、大人(大学生スタッフ)と子どもたちとの「文化的交わり合い」を浮き彫りにする。「スタッフに対する暴力的な発言」「あだ名づけ」「味の好み」「遊びのムーブメント」といった切り口が独創的である。4年近く子ども食堂の現場にリーダー的役割を担って貢献してきた著者による、子どもたちの生きられた世界を描き出す労作といえる。 |
キーワード1 | 子ども食堂 |
キーワード2 | 同和地区 |
キーワード3 | ボランティア |
キーワード4 | ハビトゥス |
キーワード5 | 言語コード |
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