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学科 メディア学科
年度 2020
ゼミ名 佐伯 順子
タイトル 日本のメディア産業における幽霊像の描かれ方
内容 この研究はなぜ、日本のメディア産業における幽霊像には黒髪長髪で白いワンピースを着た女性が多いのか、という私の疑問をテーマにしたものである。
日本のメディアにおける幽霊表象は、江戸時代の頃に描かれた黒髪長髪で白装束を着た女性の幽霊画のビジュアルが現代にまで、時代の流行に則りつつもほぼ形を変えずに受け継がれている。また、ジャパニーズ・ホラーは仏教と関係が深い。一方、欧米のホラー作品はキリスト教と関係が深く、当該時代の社会問題を上手く織り交ぜながらそれを風刺的に表現していることが特徴として挙げられる。
ジャパニーズ・ホラーにおいて女性の幽霊が一般化された背景には、女性がこれまでの日本社会の中で男性よりも様々な環境で弱い立場に置かれていたからである。また、心理的観点から、人間は相手の表情を読み取ってその後の展開をある程度予想する生物なので、表情が鮮明に見えることができない長髪の幽霊に対して一種の恐怖を抱くのである。
講評 日本のメディア産業が描く幽霊の表象を、海外ホラーと比較して論じた本論文は、ジャパニーズ・ホラーとして認識される日本映画が描く幽霊像が、黒髪で白装束の女性表象として描かれる傾向があるのに対し、海外ホラーが描く悪魔表象が主としてキリスト教の影響をうけた特定の悪魔像や呪いと関係しており、その背景には、西洋社会における「エクソシスト」と日本文化における「祓い」の慣習の宗教的相違があると指摘した。メディア上の幽霊像の国際比較から、東西の宗教文化の相違にも議論を進める本論文は、合計数十篇の短編映像、長編映画を量的、質的に分析した結果をもとに、映画評論ではなく学術研究としての、メディア学の方法論に基づく映像表象の比較文化的研究として高く評価できる。
キーワード1 ステレオタイプ
キーワード2 宗教
キーワード3 視聴者
キーワード4 社会構造
キーワード5 心理学
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