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学科 メディア学科
年度 2020
ゼミ名 佐伯 順子
タイトル 近年の日本におけるミュージックビデオの役割 -MTV Video Music Awards Japan 最優秀ビデオ賞受賞作品を例に考える-
内容 2020年現在、音楽の聴取手段は世界に続いて日本でもデジタル配信が主流になっている印象がある。その中で変わらず存在し続けているのがミュージックビデオであるが、その役割も変化しているのではないだろうか。第1章では、これまでのミュージックビデオの歴史をまとめ、役割の変化を述べた。第2章では、近年の視聴者側に焦点を当て、音楽市場やアンケートを元にしたミュージックビデオの楽しみ方の傾向を検討した。第3章では、日本のミュージックビデオの代表と言えるMTV Video Music Awards Japanで2017年から2019年に最優秀ビデオ賞を受賞した作品を映像分析し、特徴を考察した。ここではミュージックビデオの作り手の意図に焦点を当てた。第4章では、視聴者側の見方と作り手側の目的を摺り合わせ、近年のミュージックビデオが果たしている3つの役割「日本における音楽の金銭的価値観の低下を促していること」「楽曲を印象付けること」「プロモーション」を明らかにした。
講評 日本のオーディエンスに対するミュージックビデオの役割を、歴史的変遷をふまえて考察した。筆者自身が実施したアンケート調査結果をもとに、ミュージックビデオの受容方法の主流がYouTubeであり、多くの視聴者が最初から好きなアーチストに対象をしぼって動画を視聴するために、知らない曲を知らしめるというプロモーション効果が低く、低価格の音楽配信サービスとの関係性により、音楽文化の経済的価値を低下させてしまっていると指摘した。また、日本のミュージックビデオのうち、MTV Video Music Awards Japan の受賞作品を対象として映像表象分析を行い、ストーリー性やカメラワーク等の芸術性の点において、海外のミュージックビデオとの質的相違があると結論づけた。80年代にテレビに出演しないアーチストとしてのイメージ戦略として展開された日本のミュージックビデオを、スマホの普及による音楽配信サービスの発展というメディア環境の変化とともに論じた本論文は、独自のアンケート調査をふまえ、情報通信白書等の社会的データも参照し、海外比較の視点も入れてまとめた労作である。
キーワード1 ミュージックビデオ
キーワード2 音楽市場
キーワード3 プロモーション
キーワード4 音楽の金銭的価値の低下
キーワード5 音楽の印象
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