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学科 メディア学科
年度 2020
ゼミ名 佐伯 順子
タイトル 『犬神家の一族』(1976) メディアミックスと映像化のトリック
内容 小説『犬神家の一族』と映画『犬神家の一族』(1976)の研究を行いました。
研究を進めるにあたり、まずは当時映画製作を行っていなかった角川書店がどのように小説の映画化に踏み切ったのか、その背景を論じました。同時に同社が行ったメディアミックスも研究しました。
次に、本作に登場する金田一耕助に焦点を当てた「探偵」について論じました。特に、国内推理小説で有名である「明智小五郎」との比較を行い、金田一耕助の特徴を浮かび上がらせることができました。
最後に、推理小説のトリックの映像化を、映像研究を通して論じています。主には、犬神家で次々に起こる殺人シーンやその発見シーンを解析し、そのシーンが視聴者に与える印象について考察しました。
以上が私の執筆した論文の要約になります。これから読まれる方は先に映画をご覧になられると一層楽しめるかと思いますので、合わせて『犬神家の一族』もご覧ください。
講評 1976年に興行収入2位を獲得した邦画『犬神家の一族』を研究対象として、雑誌の映画批評や制作側のインタビュー記事、インターネット上の映画レビューの内容の調査結果もふまえて、オーディエンスに対する映画の人気の理由が、映像表象やタイトル自体の不気味さであることを指摘するとともに、角川書店が原作文庫本の売り上げと連携させることで、当時、メディアミックスとしての営業戦略に成功した過程を明らかにした。出版業界にとって、薄利多売の文庫本の流行が書籍の売り上げに貢献し、映画業界においても五社協定という制約が解消された結果、角川の映画製作に参入が可能となり、原作と異なる映画化独自の演出によって、書籍と映画の相乗効果による営業戦略という新しいビジネスモデルを確立したと結論づけた本論文は、作家、監督研究という視点からの映画研究ではなく、映像表象分析と、メディアと社会との関わりという観点からの、メディア学的映画研究として重要な成果となっている。
キーワード1 文学
キーワード2 映画
キーワード3 メディアミックス
キーワード4 映像分析
キーワード5 ミステリー
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