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学科 | メディア学科 |
年度 | 2020 |
ゼミ名 | 勝野 宏史 |
タイトル | 「個人化」テクノロジーが自己形成プロセスに与える影響-SF小説の分析から |
内容 | 私たちを取り囲む数々のテクノロジーは現在、めまぐるしいスピードで「個人化」が進んでいる。行動履歴から一方的に「わたし」を分析して表示されるWEB広告やSNSのおすすめ表示など、今や有無を言わさず、私たちの目の前には何らかの選択肢が提案し続けられている。このような「個人化」テクノロジーが進歩すればするほど、自らの思考を持って悩み「選択肢を選択する」時間、すなわち「自己を形成するプロセス」そのものが無意識のうちに失われていっていることに、私たちは気付いていない。将来更にこの技術が発展したとき、人々にどのような影響を及ぼしていくのだろうか。この問いを追求するため、単なる創作物の枠に収まらず、テクノロジーに対する私たちの期待や不安の具現化とも言える「SF小説」というジャンルから長谷敏司による2作品を分析した。また自己形成において重要なファッションやメイクにも着目し、近年登場した「顔診断アプリ」の分析を行った。 |
講評 | コロナ禍においての卒業論文執筆は、個々の調査への取り組み方やゼミでのフィードバックのあり方において通常とは異なるかなりイレギュラーなプロセスとなった。特に、フィールドワークやインタビュー調査を念頭に準備を進めていた学生の多くは調査方法のみならずテーマそのものの変更を余儀なくされ、春学期のほとんどの時間をそのような軌道修正に費やすこととなった。そのような状況の中で、今年度は19名の卒業論文が提出された。テーマは多岐に渡ったが、大きくは以下のカテゴリーに分けることが出来る。1.バーチャルリアリティ・ロボット・AI 2.アイドル・身体・ジェンダー 3.消費文化・ポピュラーカルチャー・社会的想像力 4.メディア・SNS・陰謀論。本ゼミにおいて卒業論文執筆の際の目標として繰り返し強調してきたのは、トピック重視の狭い範囲で答えありきの明快な議論を展開することではなく、具体的な現象とその分析の往還の中で自分なりの問いを見出し、その問いを追求する中でさらなる大きな問いにたどり着くということであった。新しいメディアコミュニケーションの普及とそれに伴う身体感覚やアイデンティティの変容、そして新たな想像力の形成、さらには陰謀論といったコロナ禍と結びついたテーマが数多く出てきたのは、それぞれが社会への関心を高めていった成果であると共に、これからも考え続けながら生きていくうえでの出発点にもなったことだろう。 |
キーワード1 | 個人化 |
キーワード2 | 自己形成 |
キーワード3 | SF |
キーワード4 | 帰属意識 |
キーワード5 | |
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