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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2020 |
ゼミ名 | 寺井 基博 |
タイトル | 「名ばかり事業主」の実態について-民間教室の講師に対する聞き取り調査から- |
内容 | 多様な働き方が認められるようになり、労使関係も多様化してきている今日、特に 注目されている働き方に、企業と関係を持ちながら指揮命令下にないとされている 働き方がある。 近年、情報化により急速に拡大しているプラットフォームビジネスでは、生産者と 消費者を仲介するプラットフォーム企業が重要な役割を果たし大きな影響力を持っ ている。X 株式会社の事例より、生産者とプラットフォーム企業の間には上下関係が 発生していると言え、この取引形態に労働力を当てはめた働き方にも、物のやり取り 同様、働く人とプラットフォーム企業の間に力の不均衡が生じている。 二者間の力の不均衡の原因は、働く人が個人事業主として扱われており、契約相手 の企業から自身を守るための保障が整っていないことである。こうした「名ばかり事 業主」が現行法で保護の対象となるためには、労働関係法令において労働者性がある と認められる必要がある。 この問題について、実際の例を用いて検証すべく、民間教室で講師として働く甲氏 と乙氏に対して聞き取り調査を実施した。この結果を判例と照らし合わせて、「名ば かり事業主」に労働者性が認められにくい要因と、今後求められる対策を考える。 |
講評 | 卒業論文の作成は、先行文献を集めて読み込み、時にはインタビュー等の調査を行い、それらの知見をもとに自らの考えを文章にまとめるという地味で忍耐を要する作業なので、 各人が関心をもって取り組むことができるようにテーマは自由とした。ただし、各自が選んだテーマと産業関係学との関係を論文の中で明らかにすることを条件としている。 今回提出された卒業論文のテーマは、組織や日本的雇用慣行など「労使関係」に関するもの、長時間労働、テレワーク、女性活躍など「働き方改革」に関するもの、プロスポーツ選手や各種講師などの「労働者性」に関するもの、貧困や雇用機会創出など「社会問題」に関するものに分かれている。文献研究が主であるが、聞き取り調査に基づいて考察を行ったものも複数みられた。 いずれの論文も先行文献を丹念に読み込んで、主要な議論を整理したうえで各自の見解が述べられていた。文章表現も的確であり、全般的に論文としての完成度は高い。提出者全員が卒業論文作成に懸命に取り組んだ努力は大いに賞賛に値する。この卒業論文は紛れもなく各人の「大学生活の到達点」であり、これを起点として社会人としての一歩を踏み出し、 さらなる研鑽を積んでもらいたい。 総合評価についてはいずれも甲乙つけ難いものであったが、最優秀論文は、「子どもの貧困における発生と連鎖のメカニズム-就労と教育による分析」とした。 評価を分けたポイントは分析力と構成力であった。一般に、論文作成に費やした時間に比例して論点把握や考察が深まる傾向がみられるが、本論文では、それに加えて、これまでに培われた分析力と構成力、文章表現力が多いに発揮されている。ことばの定義、文献考察の深さ、統計データによる論証、論理の展開、そして明快な文章表現は秀逸で、総合力として他を抜きん出ていた。 |
キーワード1 | 名ばかり事業主 |
キーワード2 | プラットフォームビジネス |
キーワード3 | 個人事業主 |
キーワード4 | 労働者性 |
キーワード5 | 労働基準法 |
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