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学科 産業関係学科
年度 2020
ゼミ名 寺井 基博
タイトル 女性が社会で輝くには -両立支援制度と男性の意識改革から-
内容  女性の労働市場からの離脱理由は、既婚か未婚かによっても異なってくる。既婚女性のうち、新婚であれば「結婚」を理由に、そうでなければ「出産」を理由に離職するケースが多い。これらの理由の背景には日本古来の「性別的役割分業」の考え方が根付いていることが考えられる。日本の男性の家事・育児に費やす時間は先進諸国と比較すると平均以下であり、家庭内における仕事はほとんど女性が担っており、仕事と両立することは厳しく、キャリアを断念せざるを得ない状況であった。しかし、結婚や出産をしてもキャリアを積み、社会で活躍したいと考える女性の増加、労働人口の確保や女性の能力を社会でもっと発揮すべく理由などにより、女性の業務継続が重要となってきている。これらにより、女性の仕事と両立を可能にするため、育児休業制度等の両立支援制度が企業には整備されている。しかし、実際には利用するにあたってマミートラックに遭遇することもある。こういったマミートラックを防ぐには、企業やあるいは国全体であらかじめ育児休業に対する理解を深めていく必要がある。また、男性自身も女性に家事・育児、子育てを任せっきりにするのではなく自身も女性と同等に参加していくという認識が必要である。そのためには、両立支援制度が女性だけのものではなく、これからはより一層、男性も取得しやすい環境作りを提供することが企業に求められる。
講評  卒業論文の作成は、先行文献を集めて読み込み、時にはインタビュー等の調査を行い、それらの知見をもとに自らの考えを文章にまとめるという地味で忍耐を要する作業なので、 各人が関心をもって取り組むことができるようにテーマは自由とした。ただし、各自が選んだテーマと産業関係学との関係を論文の中で明らかにすることを条件としている。
 今回提出された卒業論文のテーマは、組織や日本的雇用慣行など「労使関係」に関するもの、長時間労働、テレワーク、女性活躍など「働き方改革」に関するもの、プロスポーツ選手や各種講師などの「労働者性」に関するもの、貧困や雇用機会創出など「社会問題」に関するものに分かれている。文献研究が主であるが、聞き取り調査に基づいて考察を行ったものも複数みられた。
 いずれの論文も先行文献を丹念に読み込んで、主要な議論を整理したうえで各自の見解が述べられていた。文章表現も的確であり、全般的に論文としての完成度は高い。提出者全員が卒業論文作成に懸命に取り組んだ努力は大いに賞賛に値する。この卒業論文は紛れもなく各人の「大学生活の到達点」であり、これを起点として社会人としての一歩を踏み出し、 さらなる研鑽を積んでもらいたい。
 総合評価についてはいずれも甲乙つけ難いものであったが、最優秀論文は、「子どもの貧困における発生と連鎖のメカニズム-就労と教育による分析」とした。
 評価を分けたポイントは分析力と構成力であった。一般に、論文作成に費やした時間に比例して論点把握や考察が深まる傾向がみられるが、本論文では、それに加えて、これまでに 培われた分析力と構成力、文章表現力が多いに発揮されている。ことばの定義、文献考察の深さ、統計データによる論証、論理の展開、そして明快な文章表現は秀逸で、総合力として他を抜きん出ていた。
キーワード1 性別的役割分業
キーワード2 育児休業制度
キーワード3 両立支援制度
キーワード4 ワーク・ライフ・バランス
キーワード5 次世代育成支援対策推進法
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