詳細 | |
---|---|
学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2020 |
ゼミ名 | 上田 眞士 |
タイトル | テレワーク導入のトレンドが示す本当の意味 |
内容 | 本論文では、新型コロナウイルスCOVID-19の感染拡大及び緊急事態宣言の発令によって急速に関心が高まっているテレワーク導入のトレンドに着目し、コロナ禍におけるテレワークの利用を「感染対策」と捉えるのではなく、日本社会の更なる成長のために必要な「布石」だと捉える必要性があるという考えを基に、テレワーク導入への課題に着目し、今後日本社会がテレワーク導入を進める上で変わるべき姿について研究を進めた。 まず、日本社会でのテレワーク普及率の現状を分析し、日本企業がテレワークに対して現状どういう意識で向き合っているのかを確認した。 次に、テレワークを今後続けていく必要性を論じた上で、今後継続してテレワークを導入するために弊害となり得る可能性について分析し、その中でも企業側・経営管理側の課題に焦点を絞り、今まで日本社会でテレワークが普及してこなかった理由、そしてコロナ禍におけるテレワーク導入のトレンドが示す本当の意味はグローバル化や情報通信技術の進化、少子高齢化といった社会課題を抱える日本企業において、企業の評価制度の見直しが急務であることを示していることを論じる。 コロナ禍が示したのは短絡的な感染拡大防止のために必要なテレワーク導入の可能性でなく、移り行く時代の中で成長を続けるために必要な根本的な日本社会の変革である。 |
講評 | 皆さんの卒論テーマを大きく括って整理してみると,「アニメ産業の人材不足問題」「中小企業の事業継承と地域再生」「採用手法の変化と新規大卒労働市場」「コロナ禍とテレワーク,日本の労働生産性の今後」「SNSの存在意義」「働き方改革と働きやすい社会および年次有給休暇制度」「少子化社会でのビジネスおよび少子化対策と育児休業制度」「外国人技能実習制度の孕む問題」「労働組合の復興可能性」等々となっています。大雑把に言えば,これら一連の主題が表象しているものは,一方でのグローバル規模での市場主義の加速と急速な技術革新の展開,また他方での国内における種々の労働問題,社会問題の発生という,現代の雇用社会を舞台に展開している構造変化,それを舞台とした現実社会での当事者たちの苦闘ということになるでしょう。個々の論文を取り上げてみると,論理的な記述や内容把握の深さという点では,たしかに精粗や優劣もあったように思います。しかし,コロナ禍の中での就職活動という大きな困難の中でも,基本的には卒論作成という課題に対して,ゼミ生皆が真面目に取り組んでくれた。そのように考えています。そこで,ここでは皆さんも正面から取り組み,苦労もした論文執筆というものをめぐって,わたしが大事だと考える要点を簡単に指摘しておきたいと思います。そして,それを4年ゼミでの卒論作業を締め括る講評としたいと思います。 皆さんにとっては意外かもしれませんけれども,一つ強調しておきたいことは,調査を行い資料を調べ,文献を読み進めて,卒業論文を仕上げる。そのまとめや考察にあたって,付け焼き刃の「政策提言」などを無理矢理に行わないこと。この点をめぐって「禁欲」的であってほしいという要望です。要するに,論文の良し悪しの分岐は,問題の掘り下げや理解の深さにこそあるのだということです。私が調査や研究を進めて,論文を執筆する。そこでいつも感じることは,論文で書きうることは,観察の対象の「過去」の実像でしかないということです。事例調査の企画から実施を経て,事実の整理と原稿の執筆へと至る一連の過程では,理論的枠組みの検討の努力と合わせて,思わぬ時間が経過します。しかし,他方で観察の対象である実地の企業経営は,経営組織の面でも経営過程の面でも,常に変化と革新の運動の過程にあります。それ故,「現実」の観点から見れば,学問や研究はそもそも,いつも「周回遅れ」だということになるのかもしれません。けれども,研究や論文執筆はそれで良いのだ。私はそのように開き直って考えています。論ずべき対象である「問題」を自分がどのように理解したのか,その認識の枠組みと問題把握の深さこそが重要なのであって,敢えて言えば,学問の果たしうる社会的な貢献もその点にこそあるのだと思います。 やたらに「最新」を追いかけないこと,むしろ立ち止まって時間をかけてじっくり考えること,したがって付け焼き刃で場当たり的な「政策提言」などにそれほどの価値は無いこと。昨今の社会の風潮では,少数派の退嬰的な見解に過ぎないかもしれませんが,学問にとっては,こうしたことが大事であると私は考えています。論文執筆にあたっての心がけだと理解して下さい。 |
キーワード1 | テレワーク |
キーワード2 | 日本型終身雇用 |
キーワード3 | メンバーシップ型雇用 |
キーワード4 | ジョブ型雇用 |
キーワード5 | 目標管理制度 |
戻 る |