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学科 | 社会学科 |
年度 | 2021 |
ゼミ名 | 藤本 昌代 |
タイトル | 新ビジョンによる児童養護施設の現状と影響、問題点 |
内容 | 本論文は、2017年に発表された新しい社会的養育ビジョンによって、児童養護施設が現状からどのような影響を受け、変わろうとしているのか、またその問題点はなににあたるのかに着目したものである。京都市内にある児童養護施設に焦点を当て、施設職員へのインタビュー調査を行い、その役割と具体的な影響、どのように変わろうとしているのか、施設職員への負担や不安、新ビジョンへの問題点を明らかにすることを試みた。その結果、分析枠組みとして用いた、顕在的順機能、顕在的逆機能、潜在的順機能、潜在的逆機能の4つの視点から分析することができ、それぞれが児童養護施設に影響を与えていることが分かった。順機能として、新ビジョンの意図した通り「家庭的」な環境、里親数の増加、地域に馴染む施設の増設に繋がっている。しかし、その一方で逆機能として、人員不足、子どもたちの転校による人間関係のリセット、密な関係ゆえの修復の難しさが明らかになった。新ビジョンによってもたらされた良い面を残しつつ、設定された目標数値の見直しを図り、改善していく必要があるという結論に達した。 |
講評 | 本稿は児童保護施設への調査から、有識者らによって子どもたちのために計画された施策が、現場の施設に起こっている制度的矛盾点が子どもと職員に影響を及ぼしていることを見出している。施設での子供たちの生活と職員の業務を知るために本研究はコロナ禍の中、2つの施設への調査と参与観察を行っている。その結果、職員は子供たちにとって集団生活の利点と疑似家族仕様の小規模生活の利点の両方を理解した上で、それぞれの子供たちの適性の合う養育環境を整えようとして葛藤を抱えていることが明らかになった。また本研究では、専門職としての職員の思いにも、子どもに親のように徹底的に寄り添う立場と、親にはなりえないために過剰に期待させないよう子供たちの私的領域に踏み込まないという立場の違いがあることを発見している。本研究は人々に存在を知られつつ、詳細が知られていない組織の実情を知るための貴重な調査記録でもある。 |
キーワード1 | 新しい社会的養育ビジョン |
キーワード2 | 小規模施設 |
キーワード3 | 代替養育 |
キーワード4 | |
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