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学科 | 社会学科 |
年度 | 2021 |
ゼミ名 | 轡田 竜蔵 |
タイトル | 施設コンフリクトにおけるリスクコミュニケーション主体の役割 |
内容 | 社会的包摂や地域共生社会の実現の重要性が強調される昨今において、地域の中で起きる施設コンフリクトは積極的に解決しなければならない課題である。しかし、これまで研究対象とされてきたコンフリクトは環境施設が多く、社会福祉施設が取り上げられることは少なかった。さらに、社会福祉施設をめぐっては、目に見えないリスクに不安を感じた住民らによって全国で反対運動が展開されている。そこで、本研究では薬物更生施設である京都ダルクを取り上げ、ダルクの関係者に反対運動が盛んだった時期のリスクコミュニケーションについて調査を行なった。その結果、コンフリクトの対応は主に事業所が担っていたことがわかった。施設を利用する人たちの権利擁護のうち、援助や苦情解決の諸制度については行政の役割が強いが、現状としては制度との乖離がある。 周辺住民の持つ「なんとなく不安」という感情は、施設や施設の利用者への理解だけでは拭いきれない。リスクコミュニケーションには理解に加え信頼も不可欠だが、施設の運営を行う事業所だけで理解と信頼の両方を得ることは難しい。そのため、第3者の立場となる行政の支えがさらに必要なのではないか。 |
講評 | 本論文は、社会福祉施設建設にさいしての地域住民とのコンフリクトの問題に焦点を合わせ、その典型例として、京都市伏見区の京都ダルク(薬物依存症回復のために作られた民間リハビリ施設)のグループホーム建設をめぐるコンフリクトの解決過程を扱っている。論文前半では、リスクコミュニケーションが求められる社会背景、社会福祉施設にともなうリスク不安の特徴等について、簡潔ながら目配りの良い理論的整理をしている。取材結果をもとに、最終的に自治体の関与の重要性に焦点を合わせた論理展開も良い。もう少しフィールドワークに時間をかけて、地域コミュニティとの関係性を作れば、より生々しい現実がせり出してくる可能性がある。だが、既に多くの報道で注目され、対立構造に巻き込まれるリスクも高いと思われる難しい現場に飛び込み、貴重な一次データを得た点を評価したい。 |
キーワード1 | 施設コンフリクト |
キーワード2 | リスクコミュニケーション |
キーワード3 | 社会福祉施設 |
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