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学科 | 社会学科 |
年度 | 2021 |
ゼミ名 | 轡田 竜蔵 |
タイトル | 職住一体時代の郊外志向 |
内容 | 現代の日本社会で議論されている高齢化問題は郊外で顕著に見られている。その主な要因として「職住近接」の価値観を強く抱く若者が多いこと、郊外に雇用や働く環境が整っていないことが挙げられる。加えて様々な文献で郊外のコミュニティは閉鎖的であると批判され、郊外に居を構える若者は年々減少した。しかしコロナが流行した2020年、郊外移住を検討する人が増え、多くのメディアで郊外志向の高まりが報道された。本稿ではその現象の原因と現状、そしてそこから見出す郊外の再生策について文献や質的調査から考察した。結果として郊外移住が促進された要因は、「密」を避けようとする意識と在宅勤務を始めとする「職住一体」の新しい生活様式がもたらした居住地選択の拡大である。しかし緊急事態宣言が明け、オフィス勤務に戻る人が増えてからは郊外移住を検討する人は少なくなった。つまりコロナ禍での「郊外志向」は一時的なものであったが、コロナ禍がもたらした「職住一体」は私たちの生活様式を多様化させた。 |
講評 | 本論文は、コロナ禍以後に、郊外に居住しつつ自宅や近所の地域拠点でテレワークをする新しい「職住一体」の居住様式への支持が高まるトレンドを捉え、「第二次郊外ブーム」現象に焦点を合わせる。筆者は、郊外の居住様式の歴史に関わる分厚い先行研究を手際よくまとめ、これにコロナ禍以後の郊外志向に関する新しいページを書き加えた。そして、ブランド力の高い宝塚と、人口減少が顕著な泉北という関西の対照的な郊外地域を捉え、それぞれの新しい地域拠点の運営者に対するインタビュー取材を通して、地域で完結する郊外の新しいまちづくりのビジョンを記述した。ただし、著者も指摘するように、第二次郊外ブームはコロナ禍の間の一時的なものか、持続するものかはまだわからない。これを検証するには、住民のマジョリティの人口動態や居住意識の動向を分析的に捉える視点が大切だろう。 |
キーワード1 | ウィズコロナ |
キーワード2 | 職住一体 |
キーワード3 | 郊外志向 |
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